日本人は「人口減少とAI化」に立ち向かえるのか 東京一極集中のままでは少子化は止まらない

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こうした要因を内包する少子化は、日本社会の持続可能性を危ぶませる最大の問題だということである。そして、最大の問題点は、政府の先送り体質にあるという。少子化の問題を「深刻で静かなる危機」と認識していたにもかかわらず、政府はそれらの課題を30年近くにわたって放置してきたということである。

経済学者による常識が通用しない時代

しかも、日本は人口が減少する社会。すなわち老いが進行する社会であるため、経済の低成長が今後も続くことは覚悟しなければならないという考え方だ。

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そしてもうひとつの変化は、「AIによる自動化」である。現時点においてAIは、生産性を引き上げてくれ、人手不足を解消する手段として歓迎されているだろう。

とくに日本においては、目先の経済上のメリットが強調されるあまり、AIの普及がもたらす雇用への悪影響は軽視される傾向が強まっている。しかし現実的には、早くも2020年代半ばには、人余りが顕著になるというのだ。

製造業に目を向けてみても、AIによって自動化された工場が増え続けていくことは必至。おそらく10年後には、大企業の一部の工場では完全自動化が現実となり、この流れに早く対応できなかった国々は製造業では負け組へと転落していくというのだ。

ただし、本質的に見逃してはいけないのは、工場の完全自動化で生産性を高める最大の要因が人件費を必要としない点にあるということです。つまり、競争力を高めた国ほど雇用は減っていくという事実と向き合わなければなりません。(118ページより)

もちろん同じことは、小売業にもあてはまる。例えばコンビニの店舗運営も、AIを備えたカメラやスマートフォン決済の普及によって大きく変わろうとしている。そして事務などの単純作業の分野においても、AIが効率化を促すことになる。

それどころか、高度な知識を必要とする専門職であっても、この先ずっと盤石であるという保証はないという。その専門職の代表格は弁護士、公認会計士、税理士、弁理士などの、いわゆる「士業(サムライ業)」だが、そうした人々の業務でさえ、AIの普及によって大半が代替可能になっていくという流れは避けることができないというのだ。

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