「PDCAを回せない人」が犯している3大失敗 成功する人と、活用できない人の大きな差

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Lessons-Learnedとは「自分が実行して得たもの、教訓」という意味です。確かに入社1年たった時点でこのLessons-Learnedを積み上げてきた新人とそうでない新人には大きな差がついていました。議事録の書き方1つをとっても、間違えない工夫、早く書く工夫、読みやすい工夫など積み上げられることはたくさんあります。これを考えずに毎回同じように書いていては、得られることも成長も少ないことは想像がつくでしょう。

「微差、僅差の積み重ねが大差となる」株式会社イエローハット創業者 鍵山秀三郎氏
「少しずつ前に進んでいるという感覚は人間としてすごく大事」MLB選手 イチロー

日々積み上げられることは小さいかもしれませんが、その積み上げがいつか大差を生み出します。積み上げたものによって成長を実感し、自己肯定感を持って次の新しい一歩を踏み出せるようになります。

すべての可能性を網羅しようとして足踏みするのではなく、行動を早く起こすこと。

安易な正解を求めるのではなく、行動から学びを得ていくこと。
毎回同じことを繰り返すのではなく、学びを積み上げて成長していくこと。

この3つのエンジンが回ることで、PDCAサイクルは速く、確実に求める姿に向けて動いていきます。

PDCAは役に立たないやり方なのか?

近年、「PDCAは役に立たない古いやり方だ」「これからはOODAの時代だ」という主張をよく目にするようになりました。OODAとは、Observe (観察)、Orient (状況判断、方向づけ)、 Decide(意思決定)、Act (行動)の略で、アメリカの米国空軍パイロットが提唱した考え方です。状況を観察し、観察に基づき判断し、行動を決め、実際に行動するという考え方で機動性を重視しています。

OODAが注目されている理由は、PDCAのPlanが管理の色が濃く、実際の状況変化に適応できないからというものです。確かに上層部や本部が計画を立てると硬直的な進行管理的になりがちで、現場で状況変化に合わせて臨機応変に行動を変えにくいという事象はよく目にします。

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しかし、それはPDCAのPlanのあり方を間違えているというだけです。Planは仮説であり、絶対にそのとおりに行うべきもの、変えてはいけないというものではありません。間違った使い方をして、役に立たないと思っているのはもったいないことです。 

OODAは戦闘能力が極めて高いプロでこそ使いこなせるもので、個人の能力に大きく依存します。何かを見て状況を理解し、何をすべきかを決めて行動するという概略だけ見れば、誰しもが行う一般的な行動ですので、その場でとっさに思いついたことをやってみる……ということになってしまいがちです。

PDCAは未知の領域で仮説を立てて学びながら成長していくためのものですので、多くの領域で効果を発揮することができます。

清水 久三子 アンド・クリエイト代表取締役社長・人材育成コンサルタント

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しみず くみこ / Kumiko Shimizu

アンド・クリエイト代表取締役社長・人材育成コンサルタント
大手アパレル企業を経て1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社。企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして新規事業戦略立案・展開プロジェクトをリード。「人が変わらなければ変革は成し遂げられない」との思いから専門領域を人材育成分野に移し人事・人材育成の戦略策定・制度設計・導入支援などのプロジェクトをリード。コンサルティングサービス&SI事業の人材開発部門リーダーとして5000人のコンサルタント・SEを対象とした人材ビジョン策定、育成プログラム企画・開発・展開を担いベストプラクティスとして多くのメディアに取り上げられた

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