「PDCAを回せない人」が犯している3大失敗 成功する人と、活用できない人の大きな差

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① 網羅志向から行動志向へ

あるクライアント企業でこんな光景を見ました。営業不振の原因分析をする際、考えられるすべての要因を100個くらい挙げていたのです。

あらゆる可能性を知るために調査や分析を行い、それを基に結論を組み立てようという「網羅思考」。コンサルタントとして多くの企業に接する中、これに陥る企業は少なくありませんでした。失敗を恐れるがあまり、情報を集めすぎるのです。

高学歴で勉強ができる人が多い、伝統的な大企業ほど網羅思考の方が多い傾向にあったように思います。網羅ですから、調査にはかなり時間がかかりますし、企画の批判やあら探しをしてしまうためになかなか実行に移れない状況でした。

前出の企業では、問題仮説としてふさわしい本質的なものから、仮に解決しても大勢に影響もないようなものまでてんこ盛りでした。

さすがにこれではいけないと思ったのか、それらに複雑な計算式でどれが重要なのかを重み付けをし、それぞれの関係性を調べていました。そして各問題に対し、解決策を複数検討した解決策リストは膨大に。結局何をしたらいいのかわからない状態に陥っていました。

このやり方ではゆうに調査分析だけで半年はかかってしまい、そのうちに状況が変化し、新たな問題が発生します。気がつけば年度末が近づき、次の期に仕切り直しで新たな改善プロジェクトを立ち上げて振り出しに戻る……ということが繰り返されてしまうのです。

業務改善の例を出しましたが、事業戦略や商品開発でも同様のことが起きがちです。ビジネスは相対的なものであり、これで絶対に完璧という客観的な数学のような答えが出るものではありません。自分が行動することによって、相手や状況の動きが変わっていきます。

「早く失敗して、早く改善する」Amazon CEO ジェフ・ベゾス氏
「やってみなはれ。やらなわからしまへんで」サントリー創業者 鳥井信治郎氏

まず仮説を立てて行動を早く起こし、失敗して学び改善しながら結果を出して行くこと。PDCAは仮説を考えることが重要ですが、行動が遅れてしまっては意味がないのです。自分が網羅志向に陥っていると気づいた人は、勇気を持って行動志向に切り替えていきましょう。

正解探しではなく、失敗から学んでいく

②検索思考から学び志向へ

近年、多くの大学の先生方から、学生が論文を書くにあたりGoogleやWikipediaなどで検索をして、コピー&ペーストで仕上げているという話をよく聞きます。若い方と仕事をしているとさすがデジタルネイティブ世代だなと、情報収集力がすばらしい人が多いのですが、かといって検索志向が行き過ぎるのは問題です。

自分の問題を解決するのにぴったりの答えがすぐに見つかるはずだと考えてしまい、正解を検索するように情報収集したり、目の前に現れたやり方に安易に飛びついてしまう。これはよくない「検索志向」です。

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