日韓関係がここまで急悪化している根本理由 アメリカや韓国政府はどう思っているのか
「韓国政府は、日本を朝鮮半島で重要な役割を果たす国とは見ておらず、衝突のおそれを回避するために自分たちの政策を調整する必要はないと考えている。しかしそれは大きな誤りだ」(前述の元国務省高官)
アメリカ人にとって歴史問題は二の次であり、日本、韓国、アメリカの3国間安全保障協定が脆弱化することによる関係性悪化の影響のほうが重大だ。韓国の防衛は、朝鮮半島にいるアメリカ軍と日本に拠点を置くアメリカ軍の統合にかかっており、実際には韓国が攻撃されたときには対処する日本の軍事力の協力にもかかっている。
日本側はかなり「慎重に対応している」
今回のレーダー照射をめぐる対立の深刻さについては、アメリカの軍当局者や専門家たちもその意味を分かっている。たとえば、元アメリカ空軍中佐、マイケル・ボサック氏はアフガニスタンへ2回遠征したことがあり、最近は在日米軍司令部に政府関係次官として勤務。3国間の安全保障協定を策定するという、始まったばかりながら重要な仕事にもついた経験を持つ。
そのボサック氏も、日本のP-1 哨戒機の一件を巡って日韓の間に深まる隔たりを憂慮する。日本側は問題の処理を両国の防衛省間ルート内に留めようとするなど、かなり「慎重に対応して」おり、安倍晋三首相のような上層部のコメントは主に記者からの質問に答えたものにとどまっている、とボサック氏は言う。しかし今や「両サイドがその態度を強めて」おり、解決を見出すのは「不可能になってきている」(ボサック氏)。
「私は日本側が動画を見せることで決着をつけて次に進んでいくことを期待していたが、レーダーのデータを示すことによって、より厳しい態度をとることになった」とボサック氏は言う。
「韓国側はそれを望んでいないようだが、それも当然だろう。軍事行動レベルでは、自衛隊は、同盟国軍が射撃統制用レーダーで自分たちを照射してきたのにそれを認めないのだから、まさに憤慨しているのはわかる。彼らにとって、行為そのものよりもその後の対応が我慢ならないのだ」
「問題は、その政治的対応が軍事行動レベルでのいかなる解決をも阻んでいること。つまり、韓国海軍がこのようなことを2度と起こさないための措置を施したのかどうか、日本の自衛隊にとってはいまだに不明だということだ」
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