日韓関係がここまで急悪化している根本理由 アメリカや韓国政府はどう思っているのか
徴用工の争議は、先月韓国側の文在寅大統領が、戦時中に旧日本軍売春宿で、強制的に働かされた慰安婦と呼ばれる韓国女性たちに補償と謝罪をするという脆弱ながら重要な2015年協定を破棄する決断を下したことで、さらに勢いを増すこととなった。
こうした歴史をめぐる対立が前哨戦となり、韓国海軍艦艇が日本海をパトロール中の日本の海上自衛隊航空機に射撃統制用レーダーを向けた12月20日に、両政府間の深刻な対立が始まった。韓国の軍と政府はこの事実を認めることを拒否しているどころか、開き直って日本の航空機が挑発するように非常に低空を飛行したと非難している。
レーザー照射問題が安全保障問題につながる懸念
アメリカ軍や政府高官たちは一様に、事件について日本の説明をおおむね正しいものとして受け入れている、と話す。韓国の艦艇が理由は定かではないものの、実際に統制レーダーを向けたと考えている。
韓国と日本に駐屯するアメリカ軍事司令部は、今回の争議がこの地域のより大局的な安全保障協調に与える影響を懸念している。この地域では、日本と韓国両方で軍事活動をスムーズに統合できることが安全保障上重要だからだ。とはいえ、一方だけ味方していると非難されるのをおそれて対立に介入する気にはなれないでいる。
一方、日本政府高官たちは日増しに、 韓国政府の革新政権は北東アジアのパワーバランスを変化させようと決心したのだとの思いを強めている。日本の高官たちは文政権が、北朝鮮と取引することに決めたのだとおそれており、そうなれば中国を力づけ、アメリカの安全保障体制を弱体化させることになる。
ある外務省高官は非公式な会談で、文政権は北との統一という自らの夢を追っており、それが実現すれば中国の支配下における統一朝鮮が日本に対抗してくるだろうとの見方を示した。こうした悲観的な展望は、日本では今に始まったことではないが、それらが信ぴょう性を帯びてきている。
文大統領や、今回の件に関する文大統領の責任については、懸念を共有する者たちがアメリカの関係筋の中にはいる。「韓国政府は日本政府の懸念を真剣に受け取っていないのではないかと感じる」と両国と長く関わってきたある元アメリカ国務省高官は話す。
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