野球「独立リーグ」が地域密着で見出す活路 新球団も参入、知られざる経営事情:後編

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「最大の課題は安定した経営基盤です。スポンサーを募集中ですが、初年度から何かしらの利益をスポンサーに残せるような仕組みを考えたい。私も松本君も、マイナビ時代にWebを活用したマーケティングをしていました。

Webの構築をとおして、スポンサーにメリットを提示していきたいですね。堺市内のIT企業ともパートナー企業契約を結びました」

初代監督は夏凪社長の昔の野球仲間で、PL学園から近畿大を経て近鉄、オリックス、横浜、ソフトバンクでプレーした大西宏明氏。大西氏も松坂世代。大阪府内で飲食業をしていた。

チームは2018年11月にトライアウトを行い、さらにNPBの12球団合同トライアウトに足を運ぶなどして選手を獲得。堺市には硬式野球の公式戦ができる球場がないために、当面は大阪府内を転戦することになる。

昨年11月のトライアウトにて、大西監督との打ち合わせ(筆者撮影)

「野球は、メインコンテンツなんですが、野球だけでは食えないので、それ以外の収益源のある企業にしていかないといけないですね。

もちろん、野球が強いに越したことはありませんし、NPBにも人材を送り出したいですが、一方で、選手たちが野球をやめても生活できるように、セカンドキャリアも考えていきたい。

野球で人生が終わるわけではありませんから。マイナビ出身なので、その部分の知識、ノウハウを活かしていきたいですね」

球団の活路をどのように見出していくのか

独立リーグの主たる収入源は入場料、グッズ売り上げ、NPBへ送り出した選手の契約金、年俸からのキックバック(契約金、初年度年俸から一定額が独立リーグ球団に入る)、地域のスポンサーだと言われているが、今や実質的にスポンサードだけと言ってもいい状態だ。

各球団の課題は、スポンサードしてくれた地元企業に何を還元するのか。答えはさまざまだが、共通するのは「人」という言葉だ。選手やスタッフから地域住民まで、多くの「人」を巻き込んで、新たな「こと」を起こす中で、球団の活路を見いだそうとしている。

独立リーグの各球団は「野球だけでは食えない」が「野球をやめたら存在意義がなくなる」というジレンマの中でここまでやってきた。そのジレンマを解消するためのキーワードは、どうやら「人」だったようだ。

新しい時代に、独立リーグがどんな変貌を遂げるか、見つめていきたい。

広尾 晃 ライター

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ひろお こう / Kou Hiroo

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。

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