野球「独立リーグ」が地域密着で見出す活路 新球団も参入、知られざる経営事情:後編

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山根社長も、新球団を自身の事業の一環として考えている。

茨城アストロプラネッツの球団エンブレム(筆者撮影)

「野球事業の一本足打法では、永続的な経営は難しいと思っています。野球をシンボルにし、教育と福祉と3つを柱に掲げてやっていきたいと考えています。

僕は本業で展開している障がい福祉事業をスポーツにも展開させたいと思っています。球場の窓口業務やグッズ製作などで障がいのある方の就労支援をしていきたい。

またパラスポーツにも関連づけたいですね。さらに教育では、野球以外に場内アナウンスやダンスパフォーマンス分野でもアカデミーを作って育成に力を入れていきたいと思っています」

茨城県は地域によって文化や県民性が大きく異なっている。そのことも勘案して、本拠地球場は当面設けず、県内を転戦する。事務所も県内に2カ所設けたが、各地にさらに拠点を増やすという。

他スポーツから学んで観客動員を増やしていきたい

「茨城県の人口は、北陸3県の合計に匹敵します。それに鹿島アントラーズや水戸ホーリーホックなどJリーグで多くの観客を動員するクラブチームもあります。

独立リーグは観客動員が厳しいと言いますが、こうしたノウハウも学んで1試合当たり1500人の動員、最終的には5万人動員を目指して頑張りたいと思います」

初代監督には、地元の常総学院出身で、近鉄、楽天、阪神でプレーした坂克彦氏が就任。チームは四国、BC合同ドラフトで3人を指名、さらに合同トライアウトで13人を特別合格とするなど茨城県出身者を中心に選手を獲得。来季へ向けて始動している。

堺シュライクス ―マイナビ出身のキャリアを活かし経営安定へ―

堺シュライクスは、2019年から「関西独立リーグ(ベースボールファーストリーグから改称)」に参入する。「シュライク」とは堺の市の鳥であるモズのことだ。

堺シュライクスの夏凪社長(筆者撮影)

1981年3月生まれの「松坂世代」である夏凪(なつなぎ)一仁社長は、大学の硬式野球部に進むも2年の時にヘルニアで野球を断念。

卒業後は人材広告企業のマイナビに就職し、11年間のサラリーマン生活を経て、2014年に大阪で飲食店を開業。

店は順調だったが、マイナビ時代の後輩で、コンサルタント会社経営の松本祥太郎氏から「堺市に野球チームを作らないか」と誘われ店をたたみ、2人の共同出資で運営会社「株式会社つくろう堺市民球団」を設立した。

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