野球「独立リーグ」が地域密着で見出す活路 新球団も参入、知られざる経営事情:後編

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昨年は村田修一選手の加入で注目を集めた(筆者撮影)

「村田選手は、奥様や日大時代の恩師も栃木出身というご縁もあって、うちに入団してくれました。人気もさることながら、若い選手に与えたいい影響も大きかったですね。

昨年5月11日からの巨人三軍との3連戦は『男・村田祭り』と銘打ち、多くのお客様に来ていただきました。5月11日の試合はネット配信をして19万人に視聴いただきました」

2018年、ゴールデンブレーブスは栃木県小山市に小山ベースボールビレッジを開設した。これは閉校になった旧梁(やな)小学校を改装しゴールデンブレーブス、社会人チーム、女子硬式野球部の拠点として活用している。梁小学校は村田修一の義父の母校でもある。

廃校を利用した小山ベースボールビレッジ(筆者撮影)

「ここは球団、チームの拠点であるとともに、審判の研修や子どもへの野球普及活動などの場でもあります。スポーツを核とした事業展開の拠点としてもさまざまな可能性が広がっていくと思います」

茨城アストロプラネッツ ━シーズン5万人動員を目指し始動!━

全体として、独立リーグの経営環境は以前よりも厳しさが増しているが、そんな中でも2019年シーズンからの新規参入を予定している球団が2つある。

1つは、ルートインBCリーグに参入する茨城アストロプラネッツだ。社長の山根将大氏は31歳という若さ。

大好きな野球で茨城に還元したい

「茨城県ひたちなか市の出身です。大学まで準硬式野球をしていました。卒業後、ヤマト運輸に入社。そのころまで独立リーグはまったく知らなかったのですが、最初の勤務地の長野県でルートインBCリーグの信濃グランセローズを知って、地域のプロ野球チームは面白いなと思いました。

茨城アストロプラネッツの山根社長(筆者撮影)

その後2011年の東日本大震災で、茨城県も被災し、悲惨な状況になりました。

地元のために何かできないかと考えて、大好きな野球で地元に還元できたらなと思ったのです。

ヤマト運輸を退職して起業し、福祉・農業・飲食・印刷・クリエイティブ・清掃の6つの事業を展開するまで会社が成長し、事業が順調に回り出したので、球団設立を決意しました。

ルートインBCリーグに加盟を申請したのは2016年のオフのときでした。しかし新球団が加わると11球団になってペナントレースが組みにくくなると1年待つことになりました。

今年になってNPB三軍の試合をうまく組み合わせれば奇数球団でも運営できるなどの理由で、2019年シーズンからの参加が認められました」

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