吉野家、ぬぐい切れぬ「9年ぶり赤字転落」懸念 人件費増、既存店不振のダブルパンチが直撃
創業120周年の牛丼チェーン吉野家を傘下に持つ吉野家ホールディングスが業績不振に苦しんでいる。同社は1月10日、2018年度の第3四半期(2018年3~11月期)決算を発表した。売上高が1500億円(前年同期比2.4%増)と増収ながら、本業の儲けを示す営業損益は5.6億円の赤字(前期は25.9億円の黒字)に転落した。
同社にとって第3四半期を終えて営業赤字となるのは、4.7億円の営業赤字だった2009年度以来で、実に9期ぶりだ。2009年度は通期でも8.9億円の営業赤字となっている。
通期で営業赤字に転落する懸念
今年度が始まる当初、同社は41億円の営業黒字を見込んでいた。牛肉やコメなどの食材価格の上昇をある程度織り込み、数を多く売ることで利益を確保する算段だった。ところが、期初からアルバイトの採用に苦戦し、人件費や採用費が逼迫。物流費の高騰も想定を超えた。
そこで、上半期(2018年3~8月期)を終えた2018年9月に業績見通しを下方修正。今年度通期での営業利益の見通しを11億円へ大幅に減額した。
この下方修正した通期見通しにも、書き入れ時である第4四半期(2018年12月~2019年2月期)を考慮しても、届かない可能性が非常に高くなった。「通期では営業黒字に持っていく」と会社側は説明するが、通期ベースで営業赤字となる懸念もぬぐい切れない。
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