元プロ選手も学ぶ「野球学」広がり見せるワケ 筑波大学大学院の川村教授が第一人者

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川村氏は研究者、そして硬式野球部監督のかたわら、少年野球の指導も続けてきた。

「子どもたちの野球教室を15年前ぐらいから始めたのですが、どんどん人数が減っていったんですよね。これはもっと根本的なことからやらないとまずいのではないかと思ったのが、10年ぐらい前です。

サッカーの子たちはいっぱいいるのに、野球は増えない。なぜか? 野球って1から教えるノウハウがまったくないからなんですね。昔の少年野球では、ひどいところだと”人数が多いから邪魔だ”みたいな感じで、何周も走らせて、脱落したら”はい、もういいです”みたいなことをしている指導者がいました。

だから何にも教えるノウハウがないんですよね。そのうちにプロ野球中継がなくなって、野球を知らない子どもが増えてきた。そういう形で“野球離れ”が進行しているんですね。野球を1から教えられるようにするべきだ、と思っています」

川村氏は大人があれこれ指示をして野球を教える従来のスタイルではない野球の普及を考えている。

未就学児のための野球遊びの様子(筆者撮影)

「大人が入らなくても子どもたちが何となくやっているうちに自然に覚えていくっていうのを、やりたいんですよね。

少年野球の現場に行くと、小さい子に大人が『お前こっち動け、お前なんでここで走るんだよ』とかやるわけです。

すると子どもたちはとにかくコーチが言うのを待っていて、その通り動かなきゃ、みたいな感じになる。

これでは子どもたち楽しくもないだろうし。だから、今やってるのは、子どもたちが自分でやっていくうちにルールや技術を覚えられるようなゲームです。僕らは『タスクゲーム』って呼んでいますが、そういうゲームをたくさん作ろうと思っています」

日本野球科学研究会第6回大会での研究分野の広がり

2018年12月1日・2日、筑波大学で「日本野球科学研究会第6回大会」が開催された。これは全国の野球関連の研究者、指導者が一堂に会して、野球に関するさまざまな研究発表を行い、意見交換をする場だ。今回も2日間で270人もの参加者が集まり盛況だった。

川村卓氏は実行委員長として大会を取り仕切るとともに、シンポジウムや多くの発表に参加した。

川村氏をはじめとする“筑波大学野球学部”の守備範囲の広さは、この大会で発表された一般発表のタイトルを紹介すればわかるだろう。今大会では66の研究がポスター発表という形で展示されたが、このうち18が筑波大学の発表だった。

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