元プロ選手も学ぶ「野球学」広がり見せるワケ 筑波大学大学院の川村教授が第一人者

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さらに立花龍司氏(元NPB、MLBトレーニングコーチ)、新谷博氏(元日本ハムコーチ)、前述の吉井理人氏、仁志敏久氏(元巨人、横浜)、阿井英二郎氏(元日本ハムヘッドコーチ)、大島公一氏(元オリックスコーチ)などのプロ野球人が次々と川村氏の門をたたいた。

“なぜこういうのをもっと早くわかっていなかったのか”

「元プロ野球選手の方々は、まっさらな感じで来られます。そこから何でも吸収しよう、勉強しようとする姿勢は、本当に感心します。若い諸君にも見習ってほしい。

吉井さんは、“知らないことが多すぎて、こういうこともわかるんだ、の連続で、楽しくてしょうがない”と言いました。私だけでなく、いろいろな先生に教わりながら、眠っていた能力や才能が次々と開花したような感じですね。皆さん共通しておっしゃるのは、“なんでこういうのをもっと早くわかってなかったんだろうか”ということです」

川村氏の研究室では数多くの野球人が学んでいる(筆者撮影)

川村氏の研究室では、大学から院に上がったばかりの20代の若者と錚々たる野球人が机を並べ、「同級生」になる。

生活感覚は当然異なる。移動の際に元スター選手の院生が「あれ、グリーン車って学割がきかないんだ」と首を傾げた、という笑い話もあった。

野球人たちにとっても、キャンパスライフは新鮮なのだろう。

野球人を受け入れていくうちに、研究分野も多岐に分かれていく。

「野球は走攻守で別れますので、それぞれの部門で研究すべきことはたくさんあります。

また、自分の専門分野にかかわらず野球に関するいろいろな質問に答えられるようにしたいという気持ちもありました。一般的に研究者は、1つの事に対して深く入っていくような感じだと思うんですけど、それだけでなく、さまざまな問題意識を提起して、それを院生の皆さんに託そうという認識もありました。

私自身は依然としてバイオメカニクスを研究していますが、たとえば『野球人口の減少』とか、中学野球はなぜ団体がいくつもあって統合されていないのか、とかサイエンスの分野を超えた問題意識も持つようになった。それを元野球選手や若い院生諸君に研究テーマとして研究してもらっています」

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