まずはNPOという組織の存在が身近になりつつあります。筆者が昨年1年間で新たに出会った人の名刺を整理すると、NPOの名刺が例年より大幅に増えていました。しかも、NPOが行う事業もバリエーションに富んでいます。捨て猫を保護する、病児保育の支援、破棄される素材の二次利用など、行政のような公共機関でも十分に対応できていない社会問題の解決を使命にさまざまな組織が立ち上がっています。
でも、いつからこれほど団体が増えて、身近な存在になってきたのでしょうか。そもそも、NPOが加速するきっかけとなったのは1998年に成立した特定非営利活動促進法(NPO法)の施行です。1995年1月に発生した阪神・淡路大震災で100万人以上のボランティアが被災地に向かい、行政とは異なるスタンスで復興支援活動に取り組み、社会貢献に対する組織に注目が集まったことがきっかけでした。
それまでは社会貢献を継続するために組織をつくっても、事務所を借りたり、銀行口座を開いたりすることは困難でした。そこで、法人としての活動を推進するため法整備が必要で、その後に認定NPO制度が導入されて活動の幅が広がり、社会からの認知も高まりました。内閣府の集計によると2018年11月末でNPOの数は5万法人を超えました。
SNSなどネット上のコミュニティーで賛同者や協力者とのつながりを保ったりボランティアを募集することが増え、また活動資金をクラウドファンディングで募る手法も広まりました。組織構築の環境基盤が整うなかで、それなりの職員数を抱える組織が登場。職員を食べさせるための収益性も問われる存在になってきました。
ちなみにアメリカではNPO法人は160万にもおよび、大企業に負けないような資金・人材を保有する団体も存在します。今後は日本でも大規模NPOが続々と登場するかもしれません。
兼業の必要性と長寿化が深く関係している
そのような大規模化に向けた課題として想定されるのが、経営管理や組織マネジメント。アメリカでも大規模NPOでは、事業会社のように財務・管理や組織マネジメントが必要だと、大手コンサルティングファームが指摘しています。日本でもすでに30人以上の規模になっているNPO法人が多数存在します。そうした組織で前述のような課題に直面したとき、大企業での経営実績がある経営幹部が注目されることになるのは明らかでしょう。
一方で、大企業の幹部クラスにおけるNPOに対する関心はどうでしょうか。まずは会社にいながら別の仕事に就く兼業の状況を探りましょう。そもそも、兼業の必要性がうたわれた背景には長寿化があるようです。日本人の平均寿命は男女とも80歳を超えるまでになりました。平均で80歳ですから「人生100年時代」と考えるべき時代の到来と言えます。
ところが年齢別の賃金カーブは50歳あたりから減少に向かいます。そこで、長い人生の収入を確保するためのセカンドキャリアの準備として兼業が推奨されるようになりました。ちなみに兼業をしている人は日本全体で270万人で、就業者数全体に占める割合は約4%。また、年代別傾向によると50代がいちばん高く、減少する収入を補う目的が多いようです。兼業に関する50代の関心は「稼ぐ」ための仕事が人気で
・データ入力・在宅ワークで稼ぐ
・交通量の調査員
などが稼ぐ手段として登場してきます。
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