ここのところの株式市場は小康状態にある。主として米国の長期金利上昇を警戒して下げた株価は、底が抜けるような感じはなく、じわじわと戻っている。「米国の金利上昇=円安材料」なので、その分日本の株価に対する下押し効果が減殺される理屈で、一応そのようになっている。しかし、金融引き締めから米国の株価が本格的な下落に至る段階では、日本株もそれなりのショックを受けざるを得ないので、投資家はそれなりの「心の準備」が必要ではある。
念のため付け加えると、「株価下落に備えて手持ちの株式ポジションを落として、下がったところで買い戻す」という投資行動を成功させるのは、プロでも大変難しい。経験的には、1割の株価下落を正確に予想できたとしても、「売って・買い戻す」ことで成果を得るのは難しい。大きく下げそうな場面でも、十中八九は「じっと持って、時を待つ」のが無難だ。
副業はもともと「個人の当然の権利」
さて、マーケットの話はこれくらいにして今回はサラリーマンの副業の話をしてみよう。5月6日の日本経済新聞は、「大副業時代の幕開け 政府・企業が後押し」という見出しの記事を載せた。
厚生労働省が1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定し、この中で従来のモデル就業規則にあった「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」を、「原則的に副業を認めるべきだ」と改めた。180度の方向転換である。
副業は個人の当然の権利であり、「何をいまさら」という気もするのだが、政府が方針を変えることで、個人が副業を行いやすくなるなら歓迎すべきだろう。
社員の本業と副業の間の利益相反については厳しく考えてもいいが、本業に明らかに被害を与えているのでない限り(被害の立証責任はもちろん会社側だ)、社員に対して「会社ごときが」偉そうに副業の可否を判断したり、労働の量や稼ぎの額について口を出したりすべきではない。働き方は、第1に働く個人本人が判断すべき問題だ。
ところで、個人の当然の権利でありながら企業に好感を持たれなかった点で、「副業」は「転職」に似ている。
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