アートが伝える「戦争・テロ・自然災害」の世界 現代社会の大惨事と美術はどう向き合うのか
スウーン:それは新鮮な見方ですね。アーティストのひとりとして嬉しい言葉です。
後半は「美術のちから」がテーマ
スウーン:後半は、破壊からの創造を行う「美術のちから」がテーマ。この作品の加藤さんは、津田さんが芸術監督を務める「あいちトリエンナーレ2019」にも参加予定だとか。社会における「美術のちから」をどう考えますか?
津田:先ほど感情と客観性の話も出ましたが、「情」という漢字には、情報、感情に加え、他者への想像力や連帯につながる「なさけ」の意味がある。世界がネットに渦巻く情報で感情的になっている今、この3つめの力は重要で、これが次回あいちの主題。だからこの加藤さんのような表現にも注目しています。
スウーン:これが私の作品。少しシリアスな話になるけど、私の家の世代間にわたる心の傷をめぐるものです。家の各所に描いたのは、冷たく支配的でもあった祖母や、薬物依存のあった母です。実は二人とも、過去に性的暴力に苦しんでいた。私にも辛い記憶は多く、でも母の死を機に全てに向き合おうと思いました。
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