アートが伝える「戦争・テロ・自然災害」の世界 現代社会の大惨事と美術はどう向き合うのか
津田:ごく私的だけど、心が引き裂かれる体験ですね。これを作ることで自らを守り、癒し、一方で家族を赦したい気持ちがあったのでは。異形で描く母親像も目に優しさがあり、慰霊や死者との対話でもあると感じます。
人間の表現欲は暴力的にもなる
スウーン:ありがとう。作品からそこまで感じ取ってもらえたことが嬉しいし、感動します。
スウーン:最後のオノさんの作品では、来場者がそこに描いた絵を、私は一本の線でつないでみました。避け難いカタストロフがあるとしても、災禍を軽減し、そこから立ち直るためのヒントが美術の中にあることを願っています。
津田:人間の表現欲はときに他者に対して暴力的にもなり得る。これはジャーナリズムも同様だし、東日本大震災の取材や、被災地での催しを企画した経験からそう思います。でも、作り手がそれを自覚した上で必然性をもって発する表現には、大事なものを伝える力や、再生につながる力があると信じています。
〔photo (installation view) by Keizo Kioku
edit & text by Shinichi Uchida〕
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