害獣の「猪」を特産品に変えた石川の創意工夫 農家にとって「激増する猪被害」は死活問題
「色の出方がバラバラで、面白みがあります。傷やでこぼこも個性になる。集まっていろんなアイデアを出しながら、おのおのが好きなものを作るワークショップを開いていきたい。また、革細工を趣味にしている方は、どんな色・手触りのものがあるかぜひ見にきて、イノシシ皮を使ってほしいです」
中村さんは髙田さんと、製品を販売してもらっているカフェで、革細工の批評をしながら、新作のアイデアを練っている。第2子妊娠を契機とし、6年前に都内から夫の実家がある羽咋市へ移住して、里山の生活を楽しんできた。革細工を販売しながら、ジビエの魅力も伝えている。
「イノシシの肉はコラーゲンが多く、煮込むほどとろみが出ます。ルーに小麦粉を使わなくてもシチューになる。ひき肉は豚や牛と違って、こねても手に脂が付かず、脂が甘くておいしい。イノシシ肉を常食とすると、貧血が治り、体温が高くなりました。少ししか食べなくても満足できます」
中村さんによると、イノシシは女性にお勧めの食材。「のとしし」のスライス肉は、ふるさと納税の特産品としても人気が高い。
骨でスープを取ったラーメンも人気
また髙田さんによると、石川県小松市内のラーメン店がイノシシの骨でスープを取ったラーメンをメニューに加えたところ、「野性味はあるが、あっさりしている」などと好評を得ているらしい。しかし、一部の利用だけでは産業廃棄物を大幅に削減できないので、羽咋市では炭化装置を導入して頭部・内臓・骨などを処理し、土壌改良のための肥料とするための準備を進めている。2018年度内にも本格的に肥料を作る工程が整う見通しで、これにより害獣・イノシシは100%、活用できることになる。
「のとししを、余すことなく活用します。害獣を殺生して終わりでなく、特産品にして感謝できる存在としたいのです」
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら