「暴言指導」を"必要悪"とする中高部活動の闇

「再発」続くバレーボール界は変わるか

事態を重く見た日本バレーボール協会専務理事の八田茂さんは12月12日、生徒の自宅を弔問した(筆者撮影)

大阪市立桜宮高校バスケットボール部の主将だった男子生徒(当時17歳)が顧問の暴力やパワハラを苦に命を絶ってから、12月23日で6年となり七回忌を迎えた。

顧問が暴行と傷害の罪で有罪判決を受けたこの事件がきっかけの1つになり、翌2013年には文部科学省や日本体育協会(現日本スポーツ協会)、日本オリンピック委員会(JOC)や各競技団体はそろって「暴力行為根絶宣言」を行った。

10代の自殺の動機は「学校問題」が最多

教育界とスポーツ界は悲劇が繰り返されないことを誓ったが、これ以降も生徒の自殺は続いている。警察庁が発表した2017年の自殺調査によると、大人の自死が減る一方で10代のみが567人と前年比47人増。少子化で子どもの数は減っているため自殺率は上昇している。

2017年に福井県池田町の公立中学校で2年生の男子生徒が担任らの厳しい叱責が原因で校舎から飛び降り死亡したが、上記調査で自殺の動機は「学校問題」が最多だった。

スポーツ関係者に衝撃を与えたのは、岩手県立不来方高校(紫波郡矢巾町)男子バレーボール部の3年生(当時17歳)が7月3日に自死したことだろう。運動部活動の現場で起きた痛ましい出来事だ。顧問の男性教師(41)による誤った指導が原因だと遺族は考えているが、学校や教師はそれを否定している。

過去記事で報じてきたように、自殺した生徒は「ミスをしたらいちばん怒られ、必要ない、使えないと言われました」などと、顧問から受けた暴言の詳細が記された遺書を残していた。さらに「おまえのせいで負けた」などとなじられていたことや、ボールを顔に投げつけられたことなどを一部生徒が証言。遺族は11月16日付で、教師に対し刑事告訴を行った。

この案件、6年前の桜宮事件と異なる複雑な点が2つある。1つ目は顧問や学校が暴力を認めていないこと。体罰を行った桜宮高校の元顧問教師はそのことを認め懲戒免職になったが、不来方高校の場合は主に暴言によって生徒を追い込んだと見られる。顧問側は言葉の暴力は肉体へのそれとは異なり、自殺を誘引しないと考えているようだ。

もう1つは、当該の顧問が前任校である盛岡一高での暴力を元生徒に訴えられ係争中だった点。つまり一度暴力で処分されながら、「2度目の暴力」に及んでいる。この不来方をはじめとするバレーボール、実は「2度目」が最も散見される競技だ。

次ページ一度処分を受けた教師による「2度目の暴力」
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