京都とパリの「女」をめぐる意外すぎる共通点

なぜ京都の遊郭と「桂離宮」は似ているのか?

平安王朝は、ヴェルサイユを先取りしていた?(写真:大沢尚芳)
2019年1月2日に掲載された「京都市民が『長男の京大進学』を喜ばない事情」に続いて、フランス文学の重鎮・鹿島茂氏と、2016年に『京都ぎらい』で「新書大賞」を受賞した井上章一氏による対談をお届けする。京都とパリ、2つの都市の類似点が明らかになり、それぞれの都市の独自性、魅力、都市、文化があらためて見えてきた。『京都、パリ この美しくもイケズな街』から一部抜粋して紹介する。

井上章一(以下、井上):僕は日本の、何というか銀座のクラブみたいなものの存在の根っこには、やっぱり京都のお茶屋があると思います。

鹿島茂(以下、鹿島):そうですね。

井上:それをいちばん感じるのは、銀座では今でも「ママ」というでしょう。あそこにはやっぱりお茶屋の「お母さん」という、あの伝統が生きていると思います。ホステスさんの名前も、源氏名というじゃないですか。やっぱり『源氏物語(※1)』が、相当矮小化された形で生き延びているんだと思うし。フランスのメゾン・クローズ(パリの高級娼館。貴族や芸術家たちが出入りしてた一種の社交場)とか、キャバレーに「ママ」という言い方はあるんですか。

鹿島:ないわけではないですね。メゾン・クローズのおかみさんのことは「ママ」というふうに呼んでいますね。特に、その店で働いている娼婦は。

井上:呼んでるんですか。

鹿島:ええ、呼んでますよ。女の子たちは。公的には「マダム」、私的には「ママ」というのが普通かな。

井上:その呼び名は、日本に駐屯していた米軍兵士が、パリに伝えたんじゃあないですか。

なぜパリの女性経営者は「偽装結婚」するのか

鹿島:それはどうだか(笑)。メゾン・クローズって、だいたい小金を貯めた商人が経営していた。日本の遊郭も結構そうだったようですよね。フランスでは、愛人から手切れ金としてもらった金で、元私娼が娼館を始めるというケースも多かった。

でも、面白い規制があって、経営者は必ず夫婦でなければいけないとされていた。そのため、娼館上がりの人たちは、適当な男を選ぶわけですよ。

井上:偽装結婚ですね。

※1 『源氏物語』
紫式部が書いた、平安時代中期の長編物語。桐壺帝の子で、容姿や才能に恵まれた光源氏のさまざまな恋愛、栄華、苦悩、没後の世界が描かれている。
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