「ストリップの帝王」が味わった天国と地獄 全盛期には月収が1億8000万円もあった
文字どおり「ストリップ産業の帝王」となった男の評伝だが、タイトルだけで敬遠すると損をする1冊かもしれない。
殺人2件、殺人未遂7件のヤクザを失神させた
冒頭から過激だ。ストリップ劇場に刃物を持って押しかけてきたヤクザを、病院送りにするところから物語は始まる。
殺人2件、殺人未遂7件のヤクザを失神させる男とはどんな男かと想像は膨らむ。
ストリップという産業からしても主人公はチンピラ崩れかと思われるかもしれないが、実は元銀行員。1941年生まれの瀧口義弘は子どもの頃から腕っ節は強く成績優秀。高校は進学校に進んだが、大学への進学を拒否し、地元九州の地方銀行に就職する。
運命を変えるのは1本の電話だ。瀧口の親族は銀行員や公務員など堅い職業が多いが、なぜか姉がストリッパーだったことが人生を決定づける。30歳を過ぎた頃に、劇場の経理を電話1本で依頼され、妻子を残し、1975年に上京する。もちろん、仕事への不満もあったようだが、常人には理解しがたい決断である。
1970年代はストリップに本格的なブームが到来する前夜。インターネットなどもちろんなく、女性の裸に飢えた男どもを惹きつけていた。
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