サッカー日本代表、森保監督に問われる手腕 五輪とA代表は基本的にリンクさせる方針

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――すごい勇気ですよね。

「勇気……。ただ、あの場面で勝つ確率、次のステージに行く確率は何をやっても100%ではなかった。そういう中でより高い確率の選択をしていくことが監督の仕事ですから。

サッカーにおいては相当な力の差がない限り、確率が100%になることはないでしょうし、西野さんはより確率が高い判断をされたと私は認識しています」

――そこまで物議を醸す戦いをして、進んだラウンド16のベルギー戦で2点をリードしながらひっくり返されてしまった。しかもラスト9秒間で逆転されたあの幕切れは「ドーハの悲劇」を彷彿させるものがありました。

森保一(もりやす はじめ)/1968年8月、長崎県生まれ。現役時代は主にサンフレッチェ広島で活躍。2003年に現役引退後は指導者に転身。2012~2017年には古巣・広島の監督として指揮を執り、就任5年半で3度のJ1優勝。代表兼任監督はフィリップ・トルシエ氏以来となる(撮影:田所千代美)

「『最後の時間帯』という意味ではそうですね。ドーハの時は『守る意識だけでは勝利という結果は生まれない』と痛感させられました。守備だけ考えてゴール前に人数だけかけてもダメで、相手のボール保持者に対してアプローチをかけ、奪いにいかなければやられてしまうというのを学びました。

守る中でも攻撃の意識を忘れてはいけないというのは指導者になった自分の教訓です。

ベルギー戦の時は本田(圭佑=オーストラリア1部・メルボルン)が惜しいFKを蹴って、その流れから自然と点を取りに行く意識に全員がなっていたと思います。

西野さんは勝つつもりで戦っていた。それだけは間違いないと思います。

ただ、攻撃を完結できなかった時のリスク管理は我々に必要だったと強く感じます」

ベルギー戦最後の30分にやるべきことが詰まっている

――「延長に持ち込む試合運びをすべきだった」という意見もありますよね。

「西野さんがおっしゃったのは『2-0になった後の30分、相手は本当に死に物狂いになって戦ってきた』ということ。あの30分で何ができるかが、今後の日本に問われている。これからチームがレベルアップし、ベスト8に行くために、そこまでの60分間をベースにして、自信を持ちつつ、残りの30分間の戦いを考えなければいけない。あそこにやるべきことが詰まっているんです」

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