続く2位はマツダ「アテンザ」だ。最新型の刷新ぶりは通常のマイナーチェンジの範疇を超えるもので、デザインも走りもがぜん深みを増した。何でもフルモデルチェンジすればいいわけではなく、優れた土台をベースに丹念に磨き上げれば、クルマはここまで進化するのかと改めて驚かされる好例だ。
完成度は相当なレベルにあるし、単によく出来ているというだけでなく、クルマとしての色艶も増している。これが300万円を切るところから購入できるなんて、とんでもないバーゲンである。颯爽とステアリングを握る、ちょっと身なりにこだわった同世代にでも出会ったら「いいチョイスしてるね」なんて声をかけたくなりそうな1台である。
3位までくると相当悩ましいが、結局今年は全部入れ替え、ボルボ「V60」を入れることにした。『2019年版間違いだらけのクルマ選び』本文でも記しているが、新型はボルボカージャパン曰(いわ)く日本の要望が通って、全幅を先代の10㎜減となる1850㎜に抑えながら、魅力あるデザインとパッケージングを実現してきた。走りも快活で、乗っていてすがすがしい気持ちになれる。
価格も、日本の国際競争力の低下や円安等々さまざまな理由でじわじわと輸入車の価格が上がってきている中、500万円未満からのスタートと、動力性能や先進安全装備の充実度などからすると相当リーズナブルと言える。私も選考委員を務める2018ー2019日本カー・オブ・ザ・イヤーでは「XC40」が10ベストカーに残ったが、どれだけ日本市場を重要視したかと考えれば、V60こそこの国で乗るべきボルボじゃないかと私は思うのだ。
以上がベスト3台。2~4位は最後まで、実は当初の開発責任者は日仏ハーフで外装デザインを手掛けたのは日本人デザイナー、エンジンも元はと言えば横浜の……と、実は面白いぐらいに日本にゆかりの深いアルピーヌA110を入れた3台で迷ったのだと、言い訳のように記しておこう。
2位に入ったアテンザはどのくらい良いのか?
もはや、2012年の登場以来、何度目の商品改良だったかわからなくなってしまった。それぐらいコツコツと手が入れられてきたアテンザは、またも大幅な刷新を受けた。マツダ内では、次期アテンザ用として後輪駆動のまったく新しいプラットフォームを開発しているというのがもっぱらのウワサだが、それが出てくるとしても、まだ何年かは先のこと。仮にそうならないとしても、マツダは新開発のスカイアクティブ・ビークルアーキテクチャーをフル採用した、おそらくは次期型アクセラを2019年にデビューさせると言っているから、そうなると当面、技術的には下剋上というか逆転現象が起きる可能性もある。
次のモデルが出るまでの間、ブランドのフラッグシップとしての威厳と、ふさわしい実力を誇示し続けるためには、このタイミングでのもう一段の進化が必要だったということだろう。
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