食材にリスペクトを持つ
――後輩から聞いたのですが、レストランの食事がおいしいと評価が高いそうですね。みな直営とも伺っています。2年半前の就任以降、食のクオリティを高めましたか? あるいは創業当初からですか?
私が20年のキャリアで学んだことは、ホテルの成功は、どれだけよいレストランがあるかどうか、どれだけよい食材、料理を提供しているかにかかっているということです。
日本は食材のクオリティに関しては最高のものが提供されていると思っています。それは野菜でありフルーツであり、すべて最高・最良の状態で提供されていると思います。私は自分たちのスタッフ、シェフに、「食材はリスペクトを持って扱うように」と指導しています。
2番目に学んだのは、レストランのアイデンティティをきちんと明確にすること。そうしないと成功しない。たとえば中華に関しては、フュージョン(多国籍、創作料理)ではなく、きちんとした本格的な中華料理を提供する。日本料理レストランでも、日本の料理をきちんと提供することが重要だと思っています。
そして、私どもは妥協しないスタンダード、妥協しない姿勢で日々取り組んでおり、食材に関しましても、きちんとお客様の信頼を裏切らないように表示をしております。また、お客様が高い値段で購入しているものに関しては、きちんと信用を裏切らない姿勢で取り組んでいます。
たとえば、(メニューが)オーガニックのものはオーガニックで提供していますし、日本産のビーフはきちんと日本産で提供しています。私たちはレストランのクオリティ、食材のクオリティに関してもたいへん重きを置いておりますし、それが私たちの成功のひとつのカギだと思っています。
私たちのバーとレストランはたいへん好調です。それは、やはり高いクオリティを提供しているからだと思います。
――ほかのホテルでは食材偽装が多発しましたね。
「なぜこのようなことが起こりえるのか」について、私どもの料飲部長とも話をしました。2つの考え方があると思います。ひとつは、マネジメントが意志的に、わざと偽装を働いた。もうひとつは内部的な問題で、スタッフの怠慢によるものです。
料飲部長とは「私たちのホテルでも起こりえるのか」についても話しました。私とスタッフの間にはいろいろ階層があります。ただ、私は館内のフード、ドリンクなどプロダクトを熟知しています。つねにメニューをよく見ていますし、お客様とも接しています。
シャンパンとスパークリングワインの違いもわかります。きちんと「シャンパン」とうたっていて、その値段をチャージしているのであれば、本物を提供するのが私どもの義務です。万が一、私どものスタッフで偽装を見つけたら、それはお客様の信頼を裏切ることになりますので、厳しい対応をとるつもりです。
(撮影:今井康一)
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