中国はここまでして「個人情報」を得ている 日本人が知らないデジタル監視社会の実態

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よく考えてみると、北朝鮮の部隊にハイテクを教えたのは中国軍である。なぜなら2つの都市は北部戦区(旧「瀋陽軍区」)の拠点である。丹東から瀋陽まで列車に何回か乗ったことがあるが、すれ違った列車のことごとくが軍用で、なかには戦車を積んでいた貨物車があった。

ザ・タイムズ・オブ・インディア紙(2018年3月21日)が報じた。「中国は『ハイテク全体主義時代』に突入した。公安がつけるサングラスには、手配中の被疑者データと合致する人物と出くわすと職務尋問、逮捕拘束がすぐさま可能なテクノロジーが内部に仕掛けられている」。

「民主主義」「習近平」などと検索するだけで

SNSへの監視もさらに厳重になった。2015年以来、すでに1万3000のウェブサイトが閉鎖された。「民主主義」「法治」「習近平」「自由」などと打ち込むだけで、通信記録が残り、公安にマークされるシステムがすでに完了している。さすが国防費より国内治安対策費のほうが巨額という全体主義国家=中国だけに、国民を監視下に置くことは統治に欠かせない必須絶対の条件である。

ジョージ・オーウェルが鋭く予言的に描いた全体主義国家の情報管理と国民監視のシステムは、世界的な話題作となった『1984』に詳しい。「ビッグ・ブラザー」という正体不明の支配者の登場である。

西側は、デジタルエコノミーで社会システムの迅速化、効率化、そして金融制度の改善を目標としてきた。ところが中国の動機は最初から異なっていた。ビッグデータを中国共産党の支配のために活用する用途だけを最初から必死で追い求め、開発してきたのだ。

ロボットの開発にしても、中国の動機はまったく異なる。

産業ロボット、とりわけ半導体製造装置や自動車の製造工程での塗装、組み立てなど分野別ロボットでは、いまだに日本からの輸入に頼っている中国だが、次世代のAI搭載軍事ロボットの研究開発は、凄まじい加速度を伴ってきた。

次ページ北京には4000を超えるAI企業が誕生している
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