中国はここまでして「個人情報」を得ている 日本人が知らないデジタル監視社会の実態

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なにしろ政府の補助金がふんだんに付いており、不足するエンジニアはアメリカのシリコンバレーでかき集めている。アリババも百度もテンセントも、シリコンバレーでAIロボット研究開発ラボを立ち上げ、優秀な学生、新卒をアメリカ人をターゲットに設定してリクルートしているのだ。

中国における介護ロボットはすでに672の介護学校で教育現場に投入され、結構な人気を博しているという(「アジア・タイムズ・オンライン」2018年8月13日)。「キイコ(Keeko)」という愛称のロボットは日本の愛玩ロボットのパクリと思われるが、教師の補助ができるレベルに達したという。

AI開発が世界的覇権を目指す中心に

清華大学がまとめた『2018年 中国のAIロボット報告』によれば、2017年に35億ドル規模だったAI市場が2018年に倍増する、という予測が出ている。世界全体で51億ドルのAI市場の規模は、2023年に173億ドルに成長する。とくに2013年から2018年までの累計で、中国は世界市場の60%を寡占するまでになった。

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政府の補助金が付くと聞いて、雨後の筍のごとく北京の中関村に誕生したAI企業はじつに4000社に及ぶ。2018年1月には中国政府が121億ドルを投下し、北京郊外に新しくAI研究センター特別区を設置するなど、その凄まじい意欲を目撃すると、アメリカの焦燥がよく理解できる。

習近平が世界的覇権を目標とした標語「MADE IN CHINA 2025」プロジェクトの中核は、予算配分から推定してこのAI開発にある。

ロボットがAIを搭載し、GPSと連結して機動力を発揮し、最先端機能を備えてレーダー誘導という整合性を得たものが完成するとなれば、まさに中国が「軍事ロボット」を世界に先駆けて誕生させることになる。

アメリカの専門家には「極端な一時的現象にすぎず、風力発電ブーム、太陽光パネルブームが補助金打ち切りと同時に去ったように、脅威視する必要はない。中国の技術は日米の水準に10年の後れを取っている」という楽観論もあるが……。

宮崎 正弘 評論家、作家

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みやざき まさひろ

1946年、石川県金沢市生まれ。早稲田大学中退。『日本学生新聞』編集長、雑易会社を経営。1982年、『もうひとつの資源戦争』で論壇デビュー。国際政治、経済、歴史、文芸などをテーマに、独自の取材で情報を解析する評論を展開。中国ウォッチャーとして知られ、中国全省ならびにアジア全域に足を運び、取材活動を続けている。

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