世界最強「グーグル検索」が背負う期待と責任

業界随一「検索ウォッチャー」を採用した理由

創業20周年を迎える米グーグル。検索エンジンは世界中の人々に欠かせないものとなった(記者撮影)
今年9月で創業から20周年を迎える米グーグル。それは、モバイルでは今や世界シェア9割超を握る検索エンジンの誕生から20年が経つことを意味する。年間数兆回という膨大な回数が行われる検索は、インターネットの進化に連動するように急激に変化してきた。
そんなグーグルの検索部門に昨年、新たな役職が作られた。「パブリックリエゾン」なるものだ。ネットへの入り口がデスクトップパソコンからモバイルデバイスへと移り、世界中の人々が日常的にグーグル検索を使うようになった。検索結果に対する期待はますます高まり、グーグルの返答をめぐりネット上で“炎上”が起こることもある。検索エンジンがどんな仕組みなのか、問題となった事象の裏で何が起こっているのかを真摯に説明する役職が必要になったのだ。
白羽の矢が立ったのが、約20年間、検索エンジン専門のネットメディアを運営してきたダニー・サリバン氏。グーグルの検索エンジンで問題が発生するたびに厳しく批判してきたジャーナリストが、なぜ“中の人”になったのか。そして、黎明期から業界をウォッチしてきた第一人者の目に、グーグル検索は今どう映っているのか。7月に来日したサリバン氏に話を聞いた。

検索の強者だからこその説明責任

――そもそもなぜ、検索エンジン専門メディアから、長年取材対象としてきたグーグルへと転身したのですか。

1996年に会社を立ち上げ、21年間メディアを運営してきたが、疲れてしまった。同じような記事を書き続けるうちに挑戦心をかき立てられなくなっていった。会社を辞めたら、SF映画についてブログでも書こうと思っていた。

グーグル検索部門でパブリック・リエゾンという役職に就いたダニー・サリバン氏は、20年以上検索エンジンを専門とするジャーナリストとして活動してきた(撮影:今祥雄)

退社から2カ月くらい経ったある日、突然グーグルの検索部門の上級副社長から電話がかかってきた。グーグルは検索でさまざまな問題が持ち上がってきており、ユーザーに検索の仕組みをわかってもらえるよう、よりよいコミュニケーション方法を模索していた。「このポジションを作ることをずっと考えてきたが、あなたこそ適任だと思った」と。私としては新たなチャレンジをしたかったから、オファーを受けることにした。

――グーグル検索を取り巻く問題として、まず対応を迫られたのはどんな事案でしたか。

私が入社したばかりの頃、全米で銃撃事件が多発していた。こうした事件が起こると、大抵、誰が撃ったかについて間違った情報が大抵出回る。「XX事件の容疑者」と検索すると、容疑者ではない人の間違った情報を流すウェブサイトやツイートが出てきたのだ。それらは未確認情報である。だからわれわれはこうした事件における情報は、当局の裏付けがないかぎり検索結果に表示しないよう、順位づけのアルゴリズムを変更した。

(裏付けのない情報を表示したことへの)批判は甘んじて受ける。システムの改善には3~4カ月かかった。その間にも銃撃事件は起こり、さまざまな批判を受けた。だが、システムはきちんと機能するようになった。私は、“そういった問題は人間が監視すべきだ”と考える人間だったが、何十億もの検索が行われる環境では規模で追いつけず、多くを見逃すことになる。だから検索の開発チームは、大規模な処理が可能なシステムを作り上げた。

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