世界最強「グーグル検索」が背負う期待と責任 業界随一「検索ウォッチャー」を採用した理由
検索の強者だからこその説明責任
――そもそもなぜ、検索エンジン専門メディアから、長年取材対象としてきたグーグルへと転身したのですか。
1996年に会社を立ち上げ、21年間メディアを運営してきたが、疲れてしまった。同じような記事を書き続けるうちに挑戦心をかき立てられなくなっていった。会社を辞めたら、SF映画についてブログでも書こうと思っていた。
退社から2カ月くらい経ったある日、突然グーグルの検索部門の上級副社長から電話がかかってきた。グーグルは検索でさまざまな問題が持ち上がってきており、ユーザーに検索の仕組みをわかってもらえるよう、よりよいコミュニケーション方法を模索していた。「このポジションを作ることをずっと考えてきたが、あなたこそ適任だと思った」と。私としては新たなチャレンジをしたかったから、オファーを受けることにした。
――グーグル検索を取り巻く問題として、まず対応を迫られたのはどんな事案でしたか。
私が入社したばかりの頃、全米で銃撃事件が多発していた。こうした事件が起こると、大抵、誰が撃ったかについて間違った情報が大抵出回る。「XX事件の容疑者」と検索すると、容疑者ではない人の間違った情報を流すウェブサイトやツイートが出てきたのだ。それらは未確認情報である。だからわれわれはこうした事件における情報は、当局の裏付けがないかぎり検索結果に表示しないよう、順位づけのアルゴリズムを変更した。
(裏付けのない情報を表示したことへの)批判は甘んじて受ける。システムの改善には3~4カ月かかった。その間にも銃撃事件は起こり、さまざまな批判を受けた。だが、システムはきちんと機能するようになった。私は、“そういった問題は人間が監視すべきだ”と考える人間だったが、何十億もの検索が行われる環境では規模で追いつけず、多くを見逃すことになる。だから検索の開発チームは、大規模な処理が可能なシステムを作り上げた。
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