世界最強「グーグル検索」が背負う期待と責任 業界随一「検索ウォッチャー」を採用した理由
――そんな進化を遂げてきたグーグル検索の課題とは。
1つは、検索をするユーザーが自分自身で検索結果を“評価”する必要がないと考え始めていることだ。多くの人が検索という行為に慣れすぎて、情報の評価をしなくなっている。われわれは「真実エンジン」ではない。真実かそうでないかを示すことは難しい。われわれは情報の“詰め合わせ”を提供する。検索結果を基に意思決定をするのは、ユーザー自身だ。そういうことをもっと理解してもらう必要がある。
もう1つは、ここ2年ほどの現象だが、自分の主義主張に合わない検索結果が出てくることをもって、グーグル検索は偏っている、間違っているとする見方があること。われわれに求められているのは幅広い情報を示すことであって、特定の考え方を強化することではない。一方で、違う考え方を取り入れましょうと強要するわけでもない。
グーグル検索をどうとらえるか
――一方で、グーグル検索や関連サービスでは、求める情報がすぐ手に入るということをマーケティングしてきたのも事実です。スマホの時代になっていつでもどこでも検索をするようになれば、「グーグルの言うことが真実」という“誤解”が生まれるのは当然ではないでしょうか。
図書館を想像してみてほしい。自分の疑問に対して、図書館がぴったりの答えを教えてくれるとは誰も思わない。図書館が提供してくれる多様な本を読み、情報を理解する。誰も図書館に怒ったり、情報が偏っていると責めたりしない。
検索機能は図書館でのプロセスをとても簡単にした。もはや本全体を読む必要がないことを意味する。特定の本から関連性の高いページの情報を得ることができる。私が思うに、その過程で、検索結果といえども情報を吟味しなければならないという考えをなくしてしまった。
とはいえ、物事をなるべく正しい方向に導く責任はわれわれにもある。言い訳をするつもりはないが、きちんと説明して理解してもらうのは容易ではない。ユーザーの期待は大きいし、われわれもベストを尽くす。
――ユーザーがグーグル検索で質問すると、それに対する“直接的な答え”として検索結果の上部に「強調スニペット」と呼ばれるボックスが表示されます。こうした取り組みが、かえってグーグルに答えを頼るという構造を生んでいませんか。
強調スニペットやナレッジパネル(検索結果ページの右側に表示される、検索ワードに関する詳細情報を提供するパネル)は確かに直接的な答えを提供している。私がジャーナリスト時代に指摘したことでもある。
こうした問題の解決作業は、私がグーグルに入って最初にやったことの1つだ。開発チームと長時間話し合った。強調スニペットは”直接の答え”を提供する意図を持って設計されたわけではない。(最適な答えになるという)高い自信を持って1つの主な検索結果を取り上げ、「おそらくあなたが見るべきサイトです」ということを伝えるための機能だ。ただ、それが正しくないということになれば、われわれのポリシーに基づいて削除する。
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