渋澤:ほかの金融機関は販売しているファンドの本数が多く、私たちは1、2本のファンドしかないので、その違いがあるといえばありますが、「顧客本位の業務運営に関する原則」がどういうものであるかということを認識し、自分たちが良いと思うファンドを、受益者と共に育てていくことを心がければ、自ずとウインウインになることを証明できたと思います。
もっと長期投資の大切さを個人投資家に伝える必要性
藤野:遠藤俊英金融庁長官は、共通KPIで長期積み立て投資を前面に打ち出している投資信託会社が上位にきたことを、とても喜んでいました。一部の金融機関は、森信親前金融庁長官から遠藤長官に代わったことで、「くみしやすいのではないか」という空気も流れましたが、実際にお会いしてみると、決してそうではないことがわかります。
どちらかと言うと、実務をきちんと行う方です。販売金融機関各社の販売姿勢について、顧客である投資家にアンケート調査を行うとも言っていましたから、むしろ販売金融機関にとってはくみしやすいどころか、かなり手ごわい相手だと思いますよ。
中野:ある証券会社では、共通KPIの数字を上げるため、基準となる来年の3月末になったら、含み損を抱えているお客様には解約を勧めろという命令が出たとも聞いています。
こんな操作をする余地もなくはないので、共通KPIの数字の取り方が不完全だという意見も出ていますが、大事なことは、これまで多くの販売金融機関は、本当の意味でお客様の利益になるような営業をしてこなかったから、もっと改善しましょう、ということです。
それなのに、含み損を抱えているお客様に解約を勧めようとすることなど、まったくもって真意を理解しようとしていない。これはアメリカの運用会社の話ですが、直販でファンドを購入した人が、ネット上の解約ボタンを押すと、「本当に解約してもよいのですか?」という問い掛けがあるのですよ。それも2回。本当なら、そのくらい投資を継続することの大切さを伝える必要があります。
藤野:私たちも、それやりたいですね。1回目の解約ボタンに対しては、あくまで大切さを伝えるためにですが、ちょっと怒った顔のイラストで「解約するんですか」って表示するとか。で、それでも2回目の解約ボタンを押した場合は、今度は泣きそうな顔のイラストで「解約しちゃうんですか~」ってするのはどうでしょう(笑)。
渋澤・中野:それ、賛成(笑)。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら