米国四季報で読み解く個人消費を支える主役 知られざるアメリカの小売業企業たちの動向

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1960~70年代、「エブリデイ・ロープライス」を掲げ徹底した低コスト経営を実践し、世界最大の小売業チェーンに成長したウォルマート。2018年1月期末時点で、米国内で4761店舗を展開している。店舗は大きく3タイプある。

1つは食料品からアパレル、日用品、家電まで販売し、銀行やレストランなども併設する大型のスーパーセンターで、そのほとんどが24時間営業を行う。2つ目がディスカウントストアで、家具や家電、アパレル、健康美容用品などを中心に取り扱っている。3つ目が生鮮食料品や家庭用品、医薬品などが中心の地域に密着した比較的小型の店舗だ。

グローバルではカナダや中南米を中心に、中国やインドなどで6360店舗を展開している。日本では西友を通じて、英国では1999年に買収したアスダを通じての展開を行っている。

同社の売上高は、直近2018年1月期で5003億ドル(1ドル=113円換算で56.5兆円)と、イオンの8.4兆円、セブン&アイホールディングスの6.0兆円(いずれも18年2月期の連結営業収益)を大きく上回っている。

全米2位はクローガー

ウォルマートに次いでチェーンストア全米2位に位置しているのがクローガー(KR)。同社は1883年創業の老舗で、食品スーパーでは全米ナンバー1だ。米国内だけの展開だが、2018年2月3日現在でスーパーマーケットが2782店、このうち2268店舗に薬局が併設され、また1489カ所のガソリンスタンドと319店のジュエリーショップも展開している。ちなみに784店のコンビニエンスストアも保有していたが、18年4月に売却している。

会員制で倉庫型店舗を運営するのがコストコ・ホールセール(COST)、米国内で527店、米国外で235店を展開する世界第3位の小売業者だ。日本にも26店舗あり、週末には駐車場の入場待ちの行列ができるほどの人気で、安くまとめ買いして友人や近所の家族と分け合うのが基本スタイルだ。

同社の直近2018年8月期の決算を見ると、商品の売上高1384億ドルに対し、営業経費は1371億ドルで、差し引き13億ドルが商品販売での利益となる。これとは別に年会費収入が31億ドルあり、約13億ドルの税金などを引いた純利益は31億ドル。つまり年会費収入が同社の利益の源ということになる。ちなみに年会費収入は前年比10%増加している。

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