米国四季報で読み解く個人消費を支える主役 知られざるアメリカの小売業企業たちの動向

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続いて、専門店についても見ていきたい。

まずはドラッグストアから。米国ナンバーワンのCVSヘルス(CVS)だが、分類上はヘルスケア機器・サービスに属する。2007年に薬局チェーンのCVSと薬剤給付管理(PBM)大手のケアマークが合併し誕生、当初は売上高で小売事業がPBMなど医療サービス部門を上回っていたが逆転し、直近2017年12月期では医療サービス部門が全体の6割強を占めている。ただ、利益は逆に小売部門が8割を稼ぎ出している。

CVSヘルスに次ぐ全米2位のドラッグストアチェーンがウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)。同社は米国のウォルグリーンが2014年末に欧州のアライアンス・ブーツを買収して誕生した。2018年8月期末時点で全米(プエルトリコなど含む)9560店、米国外は英国2485店、メキシコ1240店などを含む4767店を展開している。

売上高で7割強を占める米国内では「ウォルグリーン」と「デュアン・リード」の2ブランドを展開しており、取り扱いの72%が処方箋薬で、残る28%が食料品や日用品、健康美容品などという内訳になっている。

世界最大のホームセンターも

ホームセンターでは世界最大のホーム デポ(HD)が有名だ。現在、米国内を中心にカナダとメキシコで計2284店舗を運営している。中古住宅の流通市場が発達している米国では、DIYやリフォーム市場の規模も大きく、各種のニーズに対応する豊富な品ぞろえが必要だ。そのため大型の店舗で3万5000点以上の品ぞろえを準備、また販売だけではなく道具の貸し出しや設置・製作などのサービスにも注力している。

2018年1月期の売上高は1009億ドル(11.4兆円)で、DCMホールディングスの4435億円(18年2月期連結)やカインズの4142億円(未上場、18年2月期単独)など日本の大手企業でもはるかに及ばない売上高規模を誇っている。

日本では100円ショップが人気だが、米国でも1ドルショップの人気は高い。その代表的な企業が全米ナンバーワンのダラー・ゼネラル(DG)と同ナンバーツーのダラー・ツリー(DLTR)だ。前者は全米44州で1万4761店(2018年5月時点)を展開し、なお2019年1月期も年間900店の新規出店、1000店の改装、100店舗の移転を計画している(上半期実績は新設510店、改装643店、移転67店)。後者は15年に同業のファミリー・ダラーを買収、「ダラー・ツリー」と「ファミリー・ダラー」の2ブランドを全米48州とカナダ5州で1万5000店を展開している。

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