オリジナル品種は920、新種誕生まで10年超 「サカタのタネ」最大の研究センターに行ってみた
新品種を生み出すのが、国内5カ所、海外9カ所に展開する研究所だ。そのうち最大の研究開発基地が、静岡県にある掛川総合研究センター。東京ドームが7つ入る広さ32ヘクタールの敷地に農場や栽培用のハウスを設けている。建物が占める面積は、そのうち12ヘクタールで、農場の方が圧倒的に広い。行き交う研究所員も白衣ではなくて作業着を着て長靴を履く。広大な敷地を自転車で移動。作業用の軽トラックやトラクターも走り、まさに畑のど真ん中、といった雰囲気だ。
病気に強い品種を作ることが第1の目標
掛川総合研究センターの古木利彦場長に話を聞いた。
「サカタのタネの育種の目的は、まず病気に強い品種を作ることにあります。生産者が儲かる種を作らなければなりません。良い野菜や花がたくさんとれるもの。病気に強いことは、作りやすいことであり、病気を防ぐための農薬も減らせる。コストダウンになるし、農作業の効率も上がります。いわば生産者、農家のための育種です」。
「近年は、販売する流通業者のための育種が加わりました。店頭で傷みにくい店(たな)持ちのよさや、輸送の際の荷傷みが少ない良い性質を持った品種です。さらに最終的に買っていただく消費者のための育種も加わりました。メロンだけでなく、トマト、ニンジン、キャベツなどもよりおいしくて、機能性成分の高いもの、健康に良いものが求められています」という。
取り組みの結果として、例えば王様トマトは、抗酸化物質のリコピンや、うま味成分のグルタミン酸を多く含むもの。ニンジンのベータキャロットは、ニンジン特有の臭みがなく、子どもでも食べやすく、さらに抗酸化物質カロテンを多く含んでいるという。
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