オリジナル品種は920、新種誕生まで10年超 「サカタのタネ」最大の研究センターに行ってみた
新しい品種開発には、いったいどれくらいの時間がかかるのだろうか。古木さんは「10年以上ですかねぇ」と笑う。
新品種作りは、一つの花から花粉をとってそれを別の花に受粉する。すると違った性質を持つ2種類の花が交配した新種が出来る。この交配を何度も繰り返して、年月をかけて当初の目的に合致した種をつくる。新しい種が出来るまでに半年から1年かかる。半年だとしても組み合わせをしながら、おおむね10世代ぐらいまで作ることになる。
目的の「おいしさ」や「病気に強い」などの優れた性質を受け継いだ種ができると、そのあと研究施設で2年程度は実際に栽培して生育を観察、うまくいけば今度は産地でさらに2年程度栽培して生産者の反応を調べる――これで最短でも10年はかかってしまう。
遺伝子組み換えはやらない!
うまくいけば10年だから、途方もなく長い期間がかかってしまう場合もありそう。もっと早く作る方法はないのか? 遺伝子組み換えなら手っ取り早くできそうに思えるが・・・。遺伝子組み換え技術の活用について問うと、古木さんは言下に否定した。
「サカタのタネでは海外の研究所も含めて、遺伝子組み換えはやっていません」。
遺伝子組み換えを積極的に行っているのは、もともと化学メーカーだった米国モンサントやデュポンの子会社パイオニアなど。大豆やトウモロコシなどの穀物中心で、野菜はあまり普及していない。ただインドでは遺伝子組み換え技術によるナスの育種が進んでいる、という。
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