オリジナル品種は920、新種誕生まで10年超 「サカタのタネ」最大の研究センターに行ってみた
日本の輸入穀物類には、すでに多数の遺伝子組み換え作物が存在する、とも言われる。とはいえ、食品としての安全性や生態系への影響などから様々な問題があると見られており、日本では遺伝子組み換え作物に対する忌避感が強い。安全性に対する研究や利用についての幅広い国民合意ができていないだけに「風評被害が一番怖い。北米や南米では遺伝子組み換え作物に対する抵抗感はないが、欧州は非常に厳しい」と古木さんは解説する。
店頭での見栄えや扱いやすさもポイントに
掛川総合研究センターでは毎年数百から1000程度の品種開発を行っている。病気に強い種を作るのが第1目標とはいうものの、それは野菜の場合。花の場合は若干、趣きが異なる。野菜は同じ土地で毎年繰り返し栽培するので、病気が広がりやすいが、花は土を入れ替え、鉢やプランターに小分けするので、病気は野菜ほどは問題にはならないからだ。
サカタのタネのオリジナル品種を見せてもらった。
「ビンセント」は切り花用のひまわり。日の長さによって大きく伸び過ぎたり、背が伸びないままに花を咲かせたりすることがない。同じ程度の長さの切り花となり、輸送や店頭で扱いやすい。また、通常のひまわりの花は横を向いて咲くため店頭に並べたり、飾ったりすると斜め下を向いてしまう。だが、ビンセントの花は上向きで店頭に並べるとシッカリと斜め上を向いて、見栄えがよい。
サカタのタネの花の代名詞となっているのが、国内シェア45%を誇るトルコギキョウ。商品数も同社の中では最多で、数の多さに比例して様々な形の花がある。「フルフル」は花径4㎝の極小輪の八重咲き品種で、一見するとバラのような花形だが無論トゲはないから、扱いやすい。
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