オリジナル品種は920、新種誕生まで10年超 「サカタのタネ」最大の研究センターに行ってみた

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温暖化など気候変動への対応が求められる

野菜類でサカタのタネの一押しが、大玉トマト新品種「パルト」。

トマトは一つの花の中の雄しべと雌しべの間で受粉・受精が行われる。自然状態なら風や虫の振動によって受粉できるが、ハウス栽培では風も虫もなく受粉率が落ちる。このため、ホルモン剤を散布して着果を促したり、マルハナバチという蜂を放して交配作業を行ったりしている。ところが欧州原産のセイヨウオオマルハナバチは特定外来生物のため、ハウス外に出さないように管理を徹底しなければならない規制がかかっている。

「パルト」は受粉・受精がなくても果実がなる単為結果性と呼ばれる性質を持ち、交配作業が不要で通常栽培に比べ労力やコストを大幅に削減する。果実はかたく、果肉がしっかりして食味にも優れている、のが特徴だ。

気候変動への対応がこれからのテーマ

ところで、これら品種は市場に出回っている商品。研究センターに来たのだから、ぜひ現在開発中の種を見たいもの。しかし、ヤンワリと断られた。それは種苗業界にとっては超企業秘密だからだ。敷地は黒い網のフェンスで区切られ、見せてくれたのは手前の畑とハウスのみ。「見ちゃダメ」という超企業秘密はフェンスの向こう側に広がっている。

そのかわり、ということで現状開発品の個別テーマについて古木さんに尋ねてみた。

「地球温暖化をはじめとする気候変動への対応ですね。日本は温帯だったはずなのに今や亜熱帯なみの暑さになっている。昔はなかったような病気への耐性が求められます。温暖化でも冬が暖かいばかりでなく、とてつもなく寒くなることもある。暖房のためのエネルギー代が膨らむことになります。その点で育種目標は植物としての強さが求められています。たくさん収穫できるのは当たり前としてね」。

鶴見 昌憲 東洋経済 記者

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つるみ まさのり / Masanori Tsurumi

紙パルプ、印刷会社等を担当

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