KDDIは「官邸からの宿題」を本当に果たしたか

楽天と提携でクリア?菅発言前の値下げ強調

11月1日、2018年4~9月期の決算を発表したKDDIの髙橋誠社長。そこで楽天との提携を公表した(記者撮影)

菅義偉官房長官が今年8月、「携帯電話の通信料金は今より4割程度下げられる」と発言して以降、携帯通信事業者3社(NTTドコモ、KDDI〈au〉、ソフトバンク)には逆風が吹く。こうした中、ドコモは10月31日の決算会見で、来年度から大幅値下げに踏み切る方針を発表した。

対して、KDDIの髙橋誠社長は11月1日の決算会見で、「(これまでの料金プランで)官邸からの宿題はこなしている」と述べ、ドコモに追随して値下げする可能性をきっぱり否定。全体的に強気の発言が目立った。だが、KDDIは本当に料金問題をクリアしたといえるのか。

新規参入者・楽天を”アシスト”するワケ

1日の決算会見では、楽天との提携も併せて発表された。2019年10月から携帯電話事業に本格参入する楽天に対し、KDDIは2026年3月末まで、3大都市(東京23区、大阪市、名古屋市)や混雑エリア以外での通信網を提供するという。一方、楽天はネット通販の物流やスマートフォンのアプリ決済のインフラをKDDIに提供する。

通信網の整備には時間とコストがかかるため、楽天は立ち上げ段階からしばらくは、地方では既存3社のどこかの通信網に乗り入れる「ローミング」の形を取る必要があった。楽天は、KDDIとの話がまとまったことで、サービス開始時から全国で携帯電話事業が出来る見通しが立った。

KDDIからすれば、第4の携帯通信事業者となる楽天の事業展開をアシストすることになる。柱の通信分野で言えば、いわば「敵に塩を送る」形だ。それでもKDDIが通信網を提供するのは、実利をとったからだろう。髙橋社長は質疑の中で、「われわれがお断りしても、(ローミングに)どこかが対応すると思った」と述べた。この発言を読み解くと、その裏には、ここでも官邸や政府の影響が透けて見える。

もともと、楽天のローミング先として本命視されていたのはドコモだった。楽天が現在、MVNO(通信事業者に接続料を払って回線を借りて、通信サービスを提供する事業者)として営むモバイル事業のメインパートナーはドコモだからだ。

だが、ドコモ側は楽天との交渉に冷ややかだったとされる。交渉の詳細は明らかにされていないが、NTTグループの関係者は「当たり前のように、こちらによりかかってくるような甘えは許されない」と楽天に不快感を示していた。

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