秋も深まって、大学3年生は、就職活動に向けた準備に動き出しているだろう。この時期の学生がまずぶち当たるのは、「どの企業を受ければいいか」という壁だ。そこで今回、日本総合研究所のコンサルタント4人を招き、企業診断のプロの視点で考えた「よい企業の選び方」について話を聞いた。
4人それぞれが、企業の内部に入って事業戦略の立案や業務効率の改善などを担う一方、数多くの企業を担当し、横並びで比較する目も持つ。いわば偏りがない視点で、学生によい企業の見極め方を披露してもらった。就活を生業とする専門家とは、一味違う観点からのアドバイスは、きっと参考になるはずだ。
「就職先の候補としてBtoB企業にもっと目を向けてほしい」。議論の口火を切ったのは、吉田賢哉リサーチ・コンサルティング部門シニアマネジャー。マーケティングや組織活性化、海外展開などの切り口から、企業の成長戦略や新規事業戦略を提案する仕事をしている。
BtoB企業に目を向けないのはもったいない
BtoB(Business to Business)企業とは、製品やサービスを企業向けに販売する企業を指す。それに対し、消費者向けに販売する企業は「BtoC(Business to Consumer)企業」と呼ばれる。一般的に、BtoC企業はテレビCMなどで積極的に広告を打つため、学生に認知度が高く、就職先としてイメージしやすい。一方で、BtoB企業はビジネス柄、消費者に直接アピールする必要があまりないため、学生にはなじみが薄い。
しかし吉田氏は、BtoB企業を見落としてしまうのはもったいない、と主張する。「まずBtoC企業と比べて市場規模がずっと大きい。しかも日本には、世界的に高い評価を得ているBtoB企業が数多く存在しています」と、指摘する。