自殺した17歳息子の遺影を公開した父の思い

暴力で係争中顧問に学校は平然と指導させた

「2つ目のパワハラ」が発覚するケースは、ここ最近スポーツ界で続いている。

今年9月、日本体育大学駅伝部監督(55)のパワハラ行為によって現役引退に追い込まれた元部員がこれを告発した。脚を蹴るなどの暴力とともに、故障した選手に「障害者じゃないか」となじったり、「大学辞めろ」と人格を否定するような言葉を投げつけたという。事態を重く見た大学側が監督を解任したが、その元監督は以前指導していた高校でも暴力問題を起こした人物だった。

指導者サイドの「認識の甘さ」

スポーツ庁を訪れる新谷聡さんと、遺族の代理人を務める草場裕之弁護士(撮影:梅谷秀司)

報道によると、元監督にまったく反省した様子はなく、暴力を用いた指導が間違っているとの認識もなかったそうだ。

2012年に起きた桜宮高校バスケットボール部の生徒自死事件で懲戒免職になり、遺族が起こした民事裁判でも敗訴した顧問は、日体大の卒業生だ。そのこともあり、日体大は事件直後、いち早く暴力根絶宣言をしていた。

それにもかかわらず、桜宮後に発覚した部活顧問によるパワハラ問題では、この駅伝部問題以外でも、かかわった顧問が日本体育大学の卒業生だった案件は少なくない。

そうした状況下、明らかに時代錯誤で間違った認識の指導者を、日体大は駅伝部監督に招聘している。対外的には暴力根絶と言いながら、本音は暴力容認であったと疑われても仕方がない。

また、高校バレーにおけるパワハラ問題は、不来方高校だけではない。今月に入って別の男子バレー強豪校でも、「2つ目のパワハラ」が発覚している。松本国際高校(長野県松本市)の男子バレー部監督(62)が、部員への暴力を含めたパワハラを認め、解雇されたのだ。

元監督は、男子バレー部の初代監督であり、2011~2017年度は校長を、今年度は名誉校長を務めていた。本来、教職員の生徒へのパワハラを指導すべき立場にありながら、自らハラスメントを続けていた過失は重いと言わざるをえない。

しかしながら、ここでも、指導者の「認識の甘さ」が許される環境が形成されている。

報道によると、松本国際高校の元監督と体罰を受けた部員とその保護者の間では和解が成立し、部員サイドは再びその解雇された元監督に指導を受けたいと望んでいるという。教職は外されたため、外部コーチの肩書で招きたい旨を学校側に願い出ている。

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