自殺した17歳息子の遺影を公開した父の思い

暴力で係争中顧問に学校は平然と指導させた

17歳で命を絶った新谷翼さん。遺族が遺影を公開したその背景とは…(写真:筆者撮影)

「(息子の)遺書を読み上げたときは、複数の職員に涙を流しながら聞いていただいた。こちらの思いは受け止めてもらえたと感じています」

17歳の息子を自殺で亡くした父親は、声を震わせながら話した。  

岩手県立不来方高校(紫波郡矢巾町)男子バレーボール部3年の新谷翼さん(当時17)が7月に自死した問題。父親の聡(さとる)さん(51)は10月19日、文部科学省を訪れ、文部科学大臣とスポーツ庁長官にあてた要請書を手渡した。

内容は、暴力・暴言によるスポーツ指導が根絶されず、自殺などの重大事態が続く理由の解明と再発阻止に向けた具体策を講じてほしいというもの。暴力根絶に向けた取り組みの全国調査の実施も求めた。

過去記事(「岩手17歳バレー部員は「遺書」に何を書いたか」「17歳バレー部員が自死した高校の杜撰な対応」)でも報じたとおり、翼さんは「ミスをしたらいちばん怒られ、必要ない、使えないと言われました」などと、顧問から受けた暴言の詳細が記した遺書を残している。岩手県教育委員会が実施した調査でも、「おまえのせいで負けた」などとなじられていたことを一部生徒が証言している。

これらの事実から、父親である聡さんは、顧問の男性教師(41)による間違った指導が自死の原因だと主張している。一方、学校側や問題の男性教師はそれを認めていない。遺族は、教師らを提訴する準備を進めている。

面談に応じたのは、松木秀彰・児童生徒課生徒指導室長を含む文科省職員2人、スポーツ庁職員2人。「一般論ではあるが、スポーツや教育の現場でこのようなことはあってはならない」と言われたという。

「翼くんが亡くなった案件は、第二の桜宮事件」

高校などの部活指導者のパワーハラスメントにより、生徒が命を絶つ「部活指導死」――。2012年12月に大阪市立桜宮高校バスケットボール部主将だった生徒(当時17)が顧問による暴力や理不尽な指導を苦に自死した事件を覚えている方もいるだろう。その後、スポーツ、教育界は2013年に体罰根絶を宣言している。

遺族の代理人を務める草場裕之弁護士は会見でこう述べた。

「新谷君が亡くなった案件は、第二の桜宮事件。ただ、体罰根絶の流れがあったにもかかわらず、この男性教師が暴力指導を継続していたこと、前任校の教え子に提訴され暴力行為があったと認定されたにもかかわらず指導を続けた。この2つの点において、桜宮以上に重大な事件だと考えています」

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