数年前から銀座コリドー街は、大人の男女の出会いの場となっているのをご存じだろうか。場所柄、サラリーマンやOLが楽しく飲めるリーズナブルで小洒落た店が軒を連ねている。別名“大人のナンパの聖地”とも揶揄されている昨今だ。
由美香はもちろんそれも知っていたのだが、まずは出会って、相手を見極めるのは自分次第だと思っていた。カジュアルな出会いから本気の恋愛に発展するものがあると信じていた。
「ただやっぱりそういう場所で出会う男性は、コミュ力のある人ほど結婚を真剣に考えていなかった。あと、既婚者が独身になりすましていることが多かったんですね」
出会った男性の中で、「真剣に付き合ってほしい」と言われ、お付き合いを始めた人がいた。
「だけど、言動にどうも腑に落ちないところがあった。会社の名刺をもらっていたので、人事部にいることもわかっていたんです。それで、その会社のホームページの人事課を検索したら、彼が写真入りで“どんな人材が欲しいか”という社内インタビューに答えている記事があった。手振りを交え熱弁を振るう彼の左手の薬指には結婚指輪がありました」
一緒に婚活していた仲間の中には、イベント業者が主催する婚活パーティで出会い付き合うようになった男性が、やはり既婚者だったという女性もいた。
「LINEはアイコンを替えると、自動的にタイムラインに上がるじゃないですか。彼女の付き合っていた男性はそれを知らなかったんでしょうね。アイコン替えて、その写真に彼と同じ苗字の女性から、“この写真、気持ち悪い”ってコメントがついたんです。彼の友達からは、“奥さんのコメント、キツいね”と書きこまれていた。そこで、既婚者だとバレてしまいました」
また、別の女友達は、付き合っていた彼が、いつの間にか結婚していた。それを知らずに、独身だと思い付き合っていたのだが、インスタグラムに投稿されていた結婚式の写真を見つけた友達がそれを彼女に送り、彼の結婚を知った。
SNSがこれだけ発達している今の時代だからこそ、独身なりすましの既婚者は、いつかは尻尾をつかまれてしまうのだが、やはりコミュ力のある男性に、引っかかってしまう女性は多いのだ。
20代は結婚を考えられなかった
由美香が結婚を考えるようになったのは、30歳を過ぎてからで、20代では、その余裕がなかったという。
「私が大学を卒業した2002年は、みずほ銀行が誕生した年でした。日本の景気が低迷し、大手銀行の合併が進み金融がドン底の時代だったんです。金融機関が新卒の採用者をほとんど取らなかったし、ほかの企業への就職も厳しい就職氷河期でした」
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