「これ以上の被害者が出ないように、記事にしてくれませんか」
友人仲人の紹介で、岩下孝司(仮名、71歳)が私を訪ねてきた。彼は若いときに事業を起こし、海外でもそれを成功させ、現在でも年収が1000万円以上ある実業家だ。また、若い頃から資産も築きあげてきた。
しかし、13年前に妻を亡くし、その後“このままひとりで暮らしていくのは寂しい”と思い、60代半ばに再婚を決意した。と、同時に副業で結婚相談所も始めた。そこに自身も登録し、再婚相手を探し始めたのだという。
「申し込んだり、申し込まれたりで、何人かとお見合いしました。でも、結婚を考えられる女性はいなかった」
若いときは海外暮らしも長く、今も現役でバリバリと仕事をする岩下は、同世代の女性と話をしていてもどこか話題が合わず、楽しくなかった。それは、“落ち着いて年相応の暮らしをしたい”と願っている相手女性もそう感じていたのではないだろうか。お見合い後交際に入っても、1、2度食事をすると断ったり断られたりで、交際が続かなかった。
27歳年下の女性から「申し込み」
そんなときに、41歳の大西響子(仮名)から申し込みがきた。写真を見ると洗練された美人。海外で金融関係の仕事をしていたこともあるとプロフィールには記されていた。
「当時私は、68歳。41歳といったら、27歳も年齢差がある。なんで私に申し込んできたのか不思議だったけれど、お互いに海外暮らしが長かったという経歴も似ていたし、男の性(さが)で幾つになっても若くてキレイな女性には弱い。半信半疑でしたが、お見合いを受けてお会いすることにしたんです」
会ってみると、写真通りの美しい人だった。また、頭の回転も早く、話題をふっても的確な答えが返ってくる。海外暮らしの話でも盛り上がった。響子は、男ウケする褒め言葉も上手だった。
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