具体的にサーバント型の上司になるにはどうしたらいいのか? 部下に対する傾聴・共感・気づき・成長へのコミット・コミュニティづくりの行動が必要とされますが、加えて、きめの細かいコミュニケーションが求められます。
・相談されるのが喜び
・細やかな気配り
・親しみやすい姿勢
上司が言わなくても結果が出る組織への変革
こうした行動・言動を心掛けなければなりません。メリットは大きく、支配型の上司のもとで働く部下にありがちな「指示待ち」を排除して、主体性が醸成され、上司が言わなくても結果が出る組織につながるのです。これがサーバント型の上司の目指す姿です。まさにイマドキの時代にあった上司イメージとも言えます。
ただ、簡単ではありません。すでに長く支配型で君臨してきた上司には、180度の方針転換が迫られます。取材した外食チェーンの店長であるSさんは、
「同じことを何回も言わせるな」
「口答えせずにやりなさい」
が口癖の、支配型の上司でした。ところが会社の方針で「店長はサーバント型に変わるべき。それができない人には店長を降りてもらう」とのメッセージが込められた研修が行われました。さらにサーバント型の上司を実践しているのかを確かめるため、定期的に店舗スタッフによる360度評価が店長に対して行われるように。生活もあるSさんは、サーバント型へ転向をする決意をしました。ある日から、
「何か困ったことがあればいつでも言ってほしい」
「ミスは仕方ない。次に頑張ればいいから」
と昨日までとまったく違う接し方に転換しました。この転換に部下たちは戸惑いを感じつつも、会社の方針に合わせた店長の努力を支持して、店はいい雰囲気に変わっていきました。
これまでは店長の顔色をうかがい、スタッフたちがビクビクして暗い雰囲気だったのが、大きく変わったのです。
ところが予想外のことが起きました。雰囲気はよくなったものの、店の業績は下降を続けました。店長による叱責がなくなり、スタッフたちの緊張感が緩み、
・お客さまからのクレームの増加
・集客プランのマンネリ化
などが起きたのです。当然のように業績が下がれば本部から店長に対して「しっかりしてほしい」との叱咤が行われます。すると店長が本部に言い返したのです。
「サーバント型で業績が下がるのと、支配型で業績が上がるのとであれば、本部はどちらがいいですか?」
店長は我慢の限界を超えたようでサーバント型を封印、元の支配型に戻してスタッフを厳しく指導するようになりました。その結果として業績は下降が止まったのです。となれば、支配型のほうがよかったとなるのでしょうか?
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