流行りの「奉仕するリーダー」が失敗する理由 態度だけやさしくしても逆効果?

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エン転職の調査によると30歳以上の転職希望者に「サーバントリーダーと支配型リーダー、どちらと働きたいですか」と質問したところ、77%の方がサーバント型と回答。一方で現在(もしくは直近)の上司は6割以上の方が支配型とのこと。部下たちは厳しい上司のマネジメントに耐えているのかもしれません。

ただ、部下も上司もサーバント型に対して間違った認識をしている可能性があります。部下からすれば、

サーバント型の上司になれば自由で楽

上司からしても、

サーバント型の上司は部下に対して無責任

といった認識に陥っていないでしょうか。上司が何事も優しく擁護してくれ、業績が下がっても「気にするな、次、頑張ればいいから」と許すだけ。そうならば、部下にとっても支配型でやってきた上司にとっても、気楽なことでしょう。

高い目標を達成するための努力を部下に求める

しかし、サーバント型の上司に期待されることは違っています。支配型と比べると部下たちは自由に発言しやすくなり、コミュニケーションが円滑になりますが、目指す目標を達成する意識は同様に求められます。ゆえに放任するのではなく、

「できなかったことを繰り返すわけにはいかない。次のアクションを具体的に考えよう」

と指導に関してはむしろ厳しさが必要になるのです。

サーバント型で業績が高まった組織の部下たちに取材すると、仕事に対する取り組みはむしろ厳しくなったとの回答が大半です。支配型の上司のように威厳を示すことはないものの、これまで以上に部下に期待するがための変化なわけです。高い目標を掲げ、それを達成するための努力を部下に求めることになります。

取材したベンチャー企業では、サーバント型のリーダーシップができる人材を管理職に登用。部下の役に立つため「何か困っていることはないか」と上司は手厚い対話を行います。部下たちは目標達成を期待されているプレッシャーをひしひしと感じていました。

部下にインタビューすると「支配型の上司に言われたことだけやっていたときのほうがはるかに楽だった」と答えてくれました。サーバント型に転換することは部下と上司、それに加えて経営陣がそれなりの覚悟をして取り組むテーマと考えるべきなのです。

チームの勝利のためにサーバント型を選んだ青山学院の原監督のようなマネジメントはスポーツ界でさらに広まっていくでしょうが、それは決して簡単なことではないのです。同じようにビジネスでサーバント型が広がるためには、成果につなげるコミュニケーションと手厚い対話が必要なのかもしれません。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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