「古いiPhone」の魅力が急上昇している理由 アップルがしてくれた2つのこと

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iOS12をインストールしたところ、私のiPhoneの動作は非常によくなった。小さなトラブルの報告があるのは知っているが、私自身は経験していない。もちろん、最新型のiPhone XSにできるすべてのことが可能になるわけではないが、十分にサクサク動いているように思う。

それに加えて前にはできなかったことまでできるようになった。たとえば自家用車に接続してCarPlayを立ち上げた際、ダッシュボードでアップルの地図アプリ(私の見方では出来が悪い)でなくグーグル・マップを呼び出すことも可能になった。こうした選択を可能にするということは、企業に自信がある証拠だ。

アップルにとってのメリットは何か

iPhoneでやれることはほかにも増えた。家族の写真を探すのも驚くほど簡単になった。さらに重要なのは、iPhone内部の処理能力が大きくなったように感じられることだ。電子書籍を読み、雑誌に切り替え、オーディオブックのアプリを立ち上げ、ニューヨーク・タイムズのウェブサイトに戻り、自分の心拍数や朝のジョギングで走った距離をチェックする――これらがすべて、クラッシュすることなくできるのだ。

この手のスマホ中毒的な使いすぎにブレーキをかけるため、一定時間、通知をオフにするのを容易にする機能も搭載された。まるで新品の、以前よりも軽快に動くスマホを手にしたようで、買い換える必要性がまるで見当たらない。

ではアップルにとってのプラス面は? 賞味期限切れの私のiPhoneへのサポートをアップルが続ければ、新品への買い換えが必要になったときにたとえ割高でも私が再びアップル製品を買う確率を高める。私の旧型のiPhoneは、購入時649ドルだった。これだけ便利に使えているのだから、今になって思えば非常にお買い得だった。

バッテリーやOSでの最近の対応がなかったとしても、携帯電話の買い換えが遅れる傾向は出てきていた。アップル的に言えば、iPhoneの買い換えサイクルは伸びており、年間売り上げ台数は過去最高だった2015年の2億3100万台を下回ったままだ。バーンスタインのアナリストであるトニ・サッコナギは、「iPhoneの買い換えサイクルが有意に伸び続けるなら、アップルの基本的な業績の足を引っ張る可能性もある」と見る。

しかし、アップルの強みは平均販売価格が上がっていることだ。2015年には671ドルだったものが、今年1~9月には700ドルを超えている。成熟したスマートフォン市場において、平均販売価格の上昇(アップルに言わせれば2ケタ成長だ)は企業の成長に欠かせない。

世界で最も時価総額の多い企業であるアップルには、ユーザーを優遇するだけの余裕があるはずだ。そうすることで、価格が上がっていっても製品を購入してくれる数多くの固定客をつなぎ止めることができるかもしれない。現状に満足して1年か2年、買い換えを先送りする人が一部にいたとしても、それでアップルの繁栄の時代に終止符が打たれるわけでもないだろう。

(執筆:Jeff Sommer記者、翻訳:村井裕美)
©2018 New York Times News Service

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