「極論」バカが、今のニッポンを蝕んでいる AI失業論、地方消滅論、TPP亡国論はやめろ

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トランプ政権の誕生によって、TPP反対派の主張はどこかへ吹っ飛んでしまいました。TPP反対派は右派も左派も、アメリカや世界の状況を知らないで極論を述べて反対、反対と騒いでいただけなのです。これも恐怖商法です。「TPPで日本が滅ぶ」と、ネット右翼の稚拙なナショナリズムに絡め恐怖を煽りに煽って、私塾やセミナーや講演会や出版で、散々儲けた“自称”保守系言論人はどこに行ってしまったんでしょうかね。どう責任を取るんでしょうかね。中にはまったく別件で逮捕された人もいましたけどね。

――著書に書かれていない極論はありますか。

最近は「AIで職がなくなる」という極論が気になります。歴史をさかのぼれば、新たな技術が発明されることで、旧来の職業が漸次的に消滅することはいくらでもありました。ジェームズ・ワットが蒸気機関を開発すると、馬車がなくなり失業した人はいましたが、鉄道や工場労働者へと転換していったのです。ガス灯が発明されれば、行灯持ちはいなくなったものの、違う職業に就いていきました。紡績機械が発明され、家内制手工業は壊滅しましたが、工場生産が新しい雇用を創り出したのです。

技術革新は一時的な失業者を生み出しますが、その後社会を発展させます。これが人類の歴史なのです。

「AIでなくなる職業、生き残る職業」が話題になりますが、まったく意味がありません。

自動運転の技術が開発されれば、バスやタクシーの運転手がすべて不必要になるでしょうか。実際は徐々に違う仕事に転職していくと思います。すでに航空機は部分的に自動運転になっているし、工場でも回転寿司店でもロボットが導入されていますが、何か問題が起きているでしょうか。むしろわが国では失業率は改善しているではありませんか。

やましいからこそ、仲間からの承認を求める

――著書の最後のほうで、「やましさ」についてもふれていますが、極論を主張している人たちは、持論を純粋に信じてはいないのですか。

純粋に信じているのではありません。彼らは自分たちがマイノリティであることは認識していますが、最初は「私たちだけが真実を知っている」と確信しています。そして、なぜ周囲はわかってくれないのかと思って活動し主張するのですが、そのうち「もしかしたら私が間違っているのではないか」と感じ始めます。しかし、間違いを認めると、自分たちのアイデンティティが崩壊してしまうので、周囲と連帯するのです。

心の中に「自分がおかしいのではないか」とやましさがあるので、仲間を求め、仲間からの承認で安心することができます。本当に正しいならば、連帯を求めることはしないでしょう。やましさがあるので、彼らは第三者からの監査を異常に嫌います。

たとえば、右翼の集会は朝日新聞の取材を拒否するし、左翼の集会に産経新聞の記者は入場できません。北朝鮮は自国の体制にやましさを感じているので、許可された記者しか取材できないのと同じです。主体思想と先軍政治に絶対の自信があるならば、どんな思想の、どんな記者やジャーナリストに国内を見られても問題ないはずです。違いますか?

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