お騒がせリーダーがツイッターにハマる事情

「炎上」がマーケティングに使われている

企業経営者の中にも、炎上やメディアからの攻撃をものともしないタイプが増えている。代表格はテスラのイーロン・マスク氏だろう。

マスク氏は、7月にタイの洞窟で遭難した少年たちを救ったダイバーを「小児性愛者だ」と侮辱したかと思うと、8月には「テスラ株を1株420ドルで非公開化することを検討中。資金は確保した」などと発言し、株式市場を大攪乱させながら、17日後には悪びれもせずに撤回した。

さらに同月のニューヨーク・タイムズのインタビューでは、ほとんど眠ることができていないことを涙ながらに語り、精神的に追い詰められていることをさらけ出したかと思えば、9月にはポッドキャスト(ネット上の音声番組)のインタビューで、大麻をくゆらせた。

そんな彼は批判的な報道が増えていることにいら立ち、5月に「メディアの信頼性を格付けするサイト『プラウダ』を立ち上げる」とぶち上げている。プラウダとは、ご存じのとおり、ソ連時代の共産党の機関紙の名前だ。このように、マスメディアとの徹底抗戦を恐れない手法はトランプと同様だ。

「お騒がせリーダー」の武器

常人には理解できない謎の行動の数々は破天荒そのものだが、そんな彼と相似形の型破りさを発揮するのが、ZOZOTOWN(ゾゾタウン)の前澤友作社長だろう。芸能人との交際や高額な買い物も包み隠さず自慢し、多くの人のねたみを買いながらも、意に介することなく、その注目をPRの機会へと昇華する。

極め付きがイーロン・マスク率いるスペースX社が2023年以降に始める民間月旅行の初の搭乗者として名乗りを上げたことだ。あの発表の後の海外メディアの注目ぶりは驚異的で、日本人としては史上最大級の報道量を獲得し、あっという間に「世界のYusaku」へと名をとどろかせることになった。

ちなみに、同氏のツイッターのユーザー名@yousuck2020のYou suckとは「あんたってだめよね」という意味。自虐ネタも含めて360度さらけだすことをいとわないスタイルということだろう。用意周到な準備のうえで、マスクとの発表会で堂々とした英語プレゼンを披露するなど、耳目を集めることに長けた「パフォーマー型」のトップといえる。

こうした「お騒がせリーダー」の武器がソーシャルメディアだ。トランプ氏、マスク氏、前澤氏のTwitterのフォロワー数はそれぞれ、5470万、2270万、41万。こうした独自のチャンネルを通じて、大量に情報を発信すれば、メディアのフィルターなしに直接届けられるばかりでなく、マスメディアもその話題性についつい乗せられて、「プロパガンダ」の片棒をかついでしまう。いったん、巨大な「エコーチェンバー」を作り上げてしまえば、メディアがどうたたこうが、「無双状態」だ。

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