「新潮45」休刊決定でもモヤモヤ感が残る理由 これは将来に禍根を残す幕引きだ

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「新潮45」を出版する新潮社の本社前でプラカードを掲げ抗議する人たち(写真:共同通信)

それは実に唐突な発表だった。新潮社の雑誌「新潮45」が、9月18日に発売された10月号をもって休刊(事実上の廃刊)することが、9月25日に同社のウェブサイトなどで告知された。10月号の発売からわずか1週間での決定だった。

新潮社としては、この対応によって早々に幕引きを図ろうとしたようだが、休刊の経緯そのものが明快とはいえず、かえって今後に禍根を残すことになりそうだ。

「試行錯誤の過程において編集上の無理が生じた」

まず、休刊までの経緯を振り返っておこう。新潮社は25日、休刊の理由について次のように説明している

弊社発行の「新潮45」は1985年の創刊以来、手記、日記、伝記などのノンフィクションや多様なオピニオンを掲載する総合月刊誌として、言論活動を続けてまいりました。

しかしここ数年、部数低迷に直面し、試行錯誤の過程において編集上の無理が生じ、企画の厳密な吟味や十分な原稿チェックがおろそかになっていたことは否めません。その結果、「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現」(9月21日の社長声明)を掲載してしまいました。このような事態を招いたことについてお詫び致します。
会社として十分な編集体制を整備しないまま「新潮45」の刊行を続けてきたことに対して、深い反省の思いを込めて、このたび休刊を決断しました。
これまでご支援・ご協力いただいた読者や関係者の方々には感謝の気持ちと、申し訳ないという思いしかありません。今後は社内の編集体制をいま一度見直し、信頼に値する出版活動をしていく所存です。

この前段階として「新潮45」発売3日後の9月21日に新潮社の佐藤隆信社長名で「新潮45」2018年10月号特別企画についてという声明がなされていた。

弊社は出版に携わるものとして、言論の自由、表現の自由、意見の多様性、編集権の独立の重要性などを十分に認識し、尊重してまいりました。
しかし、今回の「新潮45」の特別企画「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」のある部分に関しては、それらに鑑みても、あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられました。
差別やマイノリティの問題は文学でも大きなテーマです。文芸出版社である新潮社122年の歴史はそれらとともに育まれてきたといっても過言ではありません。
弊社は今後とも、差別的な表現には十分に配慮する所存です。
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