──今はできていませんね。
日本の機械設計を例にとると、CADツール、シミュレーションツールは、ほとんどが外国製。主要自動車メーカーでもそう。高いおカネをドイツやアメリカの会社に払っている。ソフトウエアに日本製はほとんどない。
サプライチェーン・マネジメントを一気にリードしたのはドイツのSAP。設計ツールはじめ製造業において重要なポジショニングを担っている。日本のIT会社はできていない。ビジネスパーソンの机上のツールはマイクロソフトだったし、スマートフォンはアップルかグーグルのアンドロイド。日本はソフトウエアのプレゼンスをほとんど発揮していない。
ハードを作っている側だからわかることも
──ソフトウエアは弱いまま。
少なくとも「モノづくり日本」を押し出しているならば、モノづくりのソフトウエアツールでプレゼンスを発揮すべきだ。日本の製造業の強さは生産技術にとどまった。ソフトを重視してこそのデジタル化なのだから、日本が強い技術分野で早急に独自に開発・育成を行う必要がある。
──逆にインターネットが根底的な変革を強いているのですね。
IoTを通じてあらゆる分野で自律・分散・協調型が促進される。たとえばテクノロジー。トヨタ自動車がインターネットにつながったコネクティッドカーを世界の主戦場と見ているが、まさに正しい方向といえる。
重工業でいえば、アメリカのGEと日本の会社とではデジタル力が圧倒的に違う。一例を挙げるとジェットエンジン。GEはセンターを作り、世界中のジェットエンジンがどういう状況にあるか、各エアラインに燃費情報を提供し始めている。
飛行機メーカーにエンジンを、電力会社に発電機を納めたら「はいおしまい」ではなく、その先にいるユーザーや消費者はどんな使い方をしたらいいのか情報提供をする。ハードウエアを作っている側だからわかることが豊富にある。
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