日本のGDPは2030年、今の「約2倍」になる カギを握るのは全産業デジタル化

✎ 1〜 ✎ 254 ✎ 255 ✎ 256 ✎ 最新
拡大
縮小

──今はできていませんね。

日本の機械設計を例にとると、CADツール、シミュレーションツールは、ほとんどが外国製。主要自動車メーカーでもそう。高いおカネをドイツやアメリカの会社に払っている。ソフトウエアに日本製はほとんどない。

サプライチェーン・マネジメントを一気にリードしたのはドイツのSAP。設計ツールはじめ製造業において重要なポジショニングを担っている。日本のIT会社はできていない。ビジネスパーソンの机上のツールはマイクロソフトだったし、スマートフォンはアップルかグーグルのアンドロイド。日本はソフトウエアのプレゼンスをほとんど発揮していない。

ハードを作っている側だからわかることも

──ソフトウエアは弱いまま。

藤原洋(ふじわら ひろし)/1954年生まれ。京都大学理学部卒業。東京大学博士(電子情報工学)。日本アイ・ビー・エムほかでコンピュータネットワークの国際標準化などに従事。1996年にインターネット総合研究所を設立。グループ企業のブロードバンドタワーを上場させた(撮影:田所千代美)

少なくとも「モノづくり日本」を押し出しているならば、モノづくりのソフトウエアツールでプレゼンスを発揮すべきだ。日本の製造業の強さは生産技術にとどまった。ソフトを重視してこそのデジタル化なのだから、日本が強い技術分野で早急に独自に開発・育成を行う必要がある。

──逆にインターネットが根底的な変革を強いているのですね。

IoTを通じてあらゆる分野で自律・分散・協調型が促進される。たとえばテクノロジー。トヨタ自動車がインターネットにつながったコネクティッドカーを世界の主戦場と見ているが、まさに正しい方向といえる。

重工業でいえば、アメリカのGEと日本の会社とではデジタル力が圧倒的に違う。一例を挙げるとジェットエンジン。GEはセンターを作り、世界中のジェットエンジンがどういう状況にあるか、各エアラインに燃費情報を提供し始めている。

飛行機メーカーにエンジンを、電力会社に発電機を納めたら「はいおしまい」ではなく、その先にいるユーザーや消費者はどんな使い方をしたらいいのか情報提供をする。ハードウエアを作っている側だからわかることが豊富にある。

次ページネットが日本企業のピンチをチャンスに
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT