これを見ると、夫の方が多く稼いでいる夫婦の比率が圧倒的に多く、夫の年収が100万円台の夫婦ですら過半数が妻は稼いでいないという状況でした。結婚の壁といわれる夫の年収300万円では、84%が「夫>妻」という夫婦形態であるということも驚きです。意外にも、同額程度稼ぐ夫婦が極端に少ないことがわかります。こうみると「女の上方婚、男の下方婚」というのは、結婚に対する「志向」ではなく、現実に結婚した夫婦の実情を表しているという証拠だと思います。
もちろん、これには配偶者控除という制度の影響もあります。いわゆる「103万円の壁」と言われるもので(2018年の改正により150万円まで引き上げ)、妻が思い切り働けなくなるというジレンマを生んでいます。さらには、30代夫婦と言えば、出産や子育ての影響もあり、離職や休職によって妻が無収入となる可能性も高いでしょう。
では、より、新婚の状態に近い「30代子どものいない共働き夫婦」だけに限定するとどうでしょうか?
子なし夫婦の場合、収入同額および妻が夫の収入を上回る比率が、子有り夫婦よりは多少高いですし、夫より妻の収入が高い場合も見受けられます。が、だとしても、「夫>妻」の比率は73%であり、子あり夫婦と10%程度しか違わない差です。夫婦共働きが増えたと言っても、その内実を詳細に見れば、世帯所得のメインは夫であり、妻はあくまでサブ的な位置づけの夫婦が多いという現実が見えてきます。
しかし、30代共働きで子なしの夫婦のパターンをより詳細にみてみると、別の問題も見えてきます。それは、共働き夫婦の増加に伴う「夫婦間所得格差の拡大」です。
グラフ化すると一目瞭然ですが、30代子なし共働き夫婦の年収別グラフのシルエットは、1ページ目の夫の年収グラフとはまったく異なる形になります。夫の年収が増えるごとに世帯所得が比例して上昇するわけではなく、夫の個人年収ではたった3%しか存在しなかった1000万~1500万円の世帯所得が、一転してボリューム層になるわけです。
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