「同類婚」志向で広がる、夫婦間の貧富の差 夫年収100万円台でも過半は妻の方が低収入

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まず、未婚男性の場合、200万円台が25%、300万円台も24%存在し、200万~400万未満の範囲でほぼ半分を占めています。以前、当連載で、年収400万円以上稼ぐ未婚男性(20~50代)はたった25%しかいないというお話を紹介しました(収入重視女と容姿重視男に未婚が多いワケ)。あの時のデータは2012年時点のものでしたが、最新の2017年データにアップデートしても、その構成比は28%程度です(30代だけで見ると、400万円以上は33%)。

一方、既婚男性はどうでしょうか。最大層は400万円台の22%ですが、300万円台も20%と次に多く、300万~500万円未満のゾーンで半分近くの42%を占めます。つまり、未婚と既婚とを分ける境界線には、年収100万円分の差があるとも言えます。

男性の婚活における「年収300万円の壁」

男性の婚活においては、俗に「年収300万円の壁がある」という説があります。男は、年収300万円を超えてはじめて、候補としての第一関門を突破するということらしいのです。30代既婚男性の84%が300万円以上なので、その説はあながち間違ってはいないのかもしれません。

未婚男性の4割が年収300万円未満なのですから、これだけを見てしまうとやはり「金を稼げない男は結婚できない」ということになってしまいます。とはいえ、年収300万円未満でも結婚できている男が16%も存在することも事実です。16%という比率だけを見ると少ないように思えますが、たとえば200万円台の年収の30代既婚男性は約49万人います。同じ年収の未婚者が約66万人ですから、それほど大きな差異はありません。年収の低い男性でも結婚している人はいるということです。

「一人口は食えぬが、二人口は食える」といわれるように、結婚とはもともと生きるうえでの経済共同体でした。かつて農業が主であった日本では、結婚や出産とは、労働力を増やすことでもあり、共同生活は1人当たりの支出を減らす目的でした。今も、共働き夫婦の比率が増加していますが、もともと明治期以前までの日本庶民の夫婦は、ほとんどが共働きで、それは、夫婦合算で必要な世帯所得を確保するという考え方が主流だったのです。消費支出においても、家族と単身とで比較すると、食費や住居費、光熱費などは世帯人員の多い家族のほうが1人当たりの費用は当然安く抑えられます。

では、実際に結婚した夫婦のそれぞれの年収形態はどうなっているでしょうか?

同じく30代の夫婦だけを抽出(夫婦のみ世帯と夫婦と子世帯)して、夫の年収を横軸に、夫と同等か、夫より年収が上か下か、という区分で夫婦の分布をグラフ化しました。収入ゼロという位置づけで無業者(専業主婦・主夫)の数もカウントしています。

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