佐藤家の家庭内古民家再生プロジェクトにおいて、何よりも大切にされたのは、当時、小学校3年生と1年生の息子さんの意見だった。
当時の写真を見せてもらうと、大きなホワイトボードにこう書いてある。「大家族会議 なければつくれ! どんな家がいい?」
そこには、いくつもの「理想の家」のアイデアやイメージが羅列されていた。
・ ほっとする家、楽しめる家
・ 遊び場や二段ベッドが欲しい
・ 子ども部屋
・ すっきりして、落ち着く家がいい
・ 友だちを呼べる家にしたい
・ キッチンは子どもも使えるように低くしたい
・ まきのお風呂がいい
子どもたちの「文句」に耳を傾けた
もちろん中には「省エネ」「白をベースにしたい」など大人の意見も入ってはいるが、多くが小学生の2人から出たものだったという。
パッと見て、「よくこんなにも案が子どもたちから出てくるな」というのが驚きだった。「長男が3歳くらいのときからホワイトボードに絵を描いて家族会議をしょっちゅうやっていたので、この頃には子ども主導で会議ができるようになっていましたねぇ」と陽平さん。
長く自然体験学習にかかわってきた陽平さんは、自身の子どもたちには、「自分で考えて誰かのために行動できる」ことを学んでほしかった。そのために「課題を見つける力」を育てることに心を砕いてきた。そこで、陽平さんが注目したのは、子どもたちの口から出る「文句」だ。
「課題は今と向き合う力ですよね。文句はそうじゃない。でも文句も課題を見つけるチャンスでもあるはず。だから昔から、子どもが文句を言ってしかったりはせず『だったら楽しくするにはどうしたらいいかな』と日常の中で切り返すようにしていました。そういう会話を日頃していると、何かうまくいかないことがあっても、だったらああしてみよう、こうしてみよう、という思考はできるようになっていったみたいです」
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