そうした子どもたちとの会議で陽平さんや乃予さんが大切にしてきたことは次の3つだ。
1 まずは子どもに全部考えさせる
2 大人が答えを準備しない
3 失敗を喜ぶ
「失敗してもいいからやってみよう、と親も一緒の目線でやることで、子どもたちも会議やその先に続く体験を楽しめるようになりました。親は大人の論理を持ち出して『そんなのダメ』などと言わないよう気をつける」(陽平さん)。「そうしていくと、子どもたちの中に会議をすれば自分の意見が通るし、願いが叶う。だから会議はいいものっていう気持ちが根付いたんだと思います」(乃予さん)
気がついたら家族会議は減っていた
実は、現在、佐藤家で家族会議が開かれることは滅多にない。
「以前は、家族の中の困りごとがあるとよく会議をしてたんです。でも最近は子どもらが勝手に自分たちで解決して好きなようにやってるから、話し合う必要もなくなったのかもしれませんね」
早朝から陸上部の練習に出て、一休みしていたという長男の世壱くんが、自慢の畑を見せてくれた。「これは、ナス、ひょうたんかぼちゃ、ゴーヤカーテン。あ、こっちは大好きなきゅうり。大きくなっちゃってるけど、いっぱい食べられるからいいんです。肥料は台風などで砂浜に打ち上げられた海藻です。畑友達のおじさんに教えてもらいました」。
へ、へぇー。すごい! と思うや、「へぇー、すげーなお前、そんなことやってんの」と陽平さん。知らなかったんですか? 「もう、畑は、ノータッチなんで(笑)」
「素直に育ってますねぇ」思わずそう言うと、「これから反抗期になれば、また変わってくるんでしょうけれどね。まあ、それはそれで構わない」と陽平さんは笑う。
でも佐藤家の子どもたちを見ていると、それほど大きな反抗期はこないんじゃないか、とも思う。彼らが親に押し付けられてやらされていることはなく、「自分がしたいこと」を自分の頭で考えて行動しているからだ。
1回の家族会議だけで、こうした親子関係や育児環境を整えることはできない。でも、親も子も楽しみながら、一緒に生活を作っていく佐藤家のスタイルには、学びたいと思えるヒントがたくさんあった。
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